2004年1月9日 分かってきた! デジカメ♪ (4) もっと被写体に近づきたい!

(3)「なぜボケ味が出ないのか〜被写界深度の研究」のつづき

わたしは今、2台目のデジカメを欲しいと思っています。 いや、正確には、2台目、3台目、4台目‥かなっ?

わたしはここ8年、ほとんどの場面で1台の銀塩カメラのみを使用してきました。 焦点距離が28ミリから110ミリのズームレンズ1本で、ほとんど何でも撮ってきたのです。

それは逆に言うと、「そのレンズで撮れないものは諦めていた」、ということです。

もっと遠くのものをズームアップできたらと思う場面も多々ありましたが 先日書いたように、 重たくてかさばる替えレンズを購入したものの使いこなせなかったという 苦い過去もありましたから、そういう己の欲求はあえて深追いしないできました。

また、わたしの愛用機の撮影可能範囲は、ワイド端でも最低80センチ。 もっと被写体に近づきたいと思う場面も多々ありましたが、 カメラというのはそういうものだと思い、暗黙のうちに諦めてきました。

ところがどうでしょう。 ヤマダ電機で買った安くて小さなcoolpix2100を手にした途端、 そういう諦めの境地にとどまることができなくなってしまいました。

「こんなに安くて小さなデジカメでこれだけのことができるなら、
もしかして、あんなこともこんなこともできるような世の中になっているかもしれない!」

と、夢が一気に膨らんでしまったんですね。 思っていたよりはるかにcoolpix2100の画質が良かったこと、 画質とはまたべつのところにある使い勝手のよさなどが、この期待に拍車をかけました。

で、最初に考えたのは、「何でも撮れる」デジカメへの買い替えでした。 この際、金に糸目はつけない (←いつもそういいつつ、思いっきり金額にこだわっている自分がいますが)。 金で解決できるなら、そうしてやろうじゃないのと鼻息荒く、どこまでもハイスペックで どこまでも汎用度の高いデジカメの購入を画策したのです。

ところが。考えれば考えるほど、探せば探すほど、 それは現実的な考え方ではないような気がしてきました。 なぜって、必ずしも高価なデジカメの方がハイスペックではないことに 気付いたからです。

もちろん大局的に見れば、低価格のものより高価なものの方が、ハイスペックです。 CCDの大きさや画素数はおおよそ価格に比例するし、 大きなレンズにお金がかかっている分、欠点は少ない。 でもね、ある部分に限定して見ると、案外コンパクト機の方が高級一眼レフより優れている 部分があるんですねえ。

たとえば Ricoh Caplio G4wide。 現在の実売価格3万円代、 どうかすると2万円代でも手に入るかもしれないコンパクトデジカメです。 これ、マクロモードだとワイド端でなんと1センチまで被写体に近付ける。 それだけならまだ他にもありそうですが、 テレ端(35ミリフィルムで85ミリ相当の画角)でも 4センチまで近付けるという驚異的なスペック。 こんなの他にあるでしょうか?

おそらく最短撮影距離というのは、 焦点距離によってある程度限界が決まっているんじゃないかと思います(未確認^^;)。 受光面の小さな機の方が、最短撮影距離が短いものが多いような気がするから。 デジカメがマクロに強いのは、そういう事情によるのかもしれません。

たとえばキャノンのレンズで最も最短撮影距離が短いのは 魚眼レンズのEF15mm F2.8 フィッシュアイで、20センチから。普通の広角レンズだと、25センチくらいから。 焦点距離85ミリのレンズともなると、最短でも85センチ ( EF85mm F1.8 USM ) これにクローズアップレンズを装着したとしても、さすがに4センチまで近づくのは 至難の技なのではないでしょうか。 つまり、最短撮影距離の短さというのは、お金を積んで手に入れるものではないんですね。

でも、そんなに近くに寄って撮影する必要が果してあるのか?

とおっしゃられるかもしれません。ま、そう言われりゃ全くその通りなんですけれどね。 ズーミングという観点からいけば、小さな花を画面いっぱいに撮るのに、 バズーカ砲みたいに大きな望遠レンズで遠くから狙って撮ったって 一向に構わないわけです。 画角は違いますが、これはこれで良い写真が撮れそうな気がしますね。 すごく背景がボケそうで。

小さな花を望遠レンズで撮るの図
小さな花を望遠で撮る之図

でも、一度やってみるとお分かりだと思いますが、 小さな花に鼻先をくっつけて撮るっていうのは、それはそれで実に素敵な気分です。 被写体との一体感を感じるというか、被写体と魂が通い合うような気がする。 そして、被写体を愛でる気持ちが写しこめるような気がするんです。

小さな花を接写で撮るの図
小さな花を接写で撮る之図

先日、どこぞの画像掲示板 に美しい霜の結晶の写真が貼ってあるのを見ました。 小さな小さな霜の結晶は、地面にうつ伏せに横たわって撮られたものだそうです。 実はこの撮影者の方、リュックにはいつでも地べたに這えるよう、 シートを折りたたんで入れているんですって。

ちょっとその逸話には感動してしまいました。 ああ、こういう姿勢っていいな、と思いました。 自分と被写体の距離が遠くては、伝わらないものもある。 この方が実際にどんなカメラを使われたかは残念ながら分かりませんが、 この写真を目にした途端、被写体に鼻先をくっつけて撮影する喜びを わたしも捨てることができなくなりました。 つまりどんなにお金を積んで、良いスペックのカメラを買っても、 それ一台で済ませることはできないと悟ったのです。

わたしがいま、2台目のみならず、3台目、4台目のことまで考えているのは そういう事情なのです。 本当は、貞淑をモットーとするわたくしといたしましては、 これまでの銀塩同様、 一台のカメラを深く長く愛していきたいところなのですけれどね。 デジカメに関しては、服を着替えるように、気軽に持ち替えるのもアリなのかな、と。

(5)「もっと被写体を引き寄せたい!〜望遠への熱い想い」につづく