(4)「もっと被写体に近づきたい!〜接写への熱い想い」からのつづき
買ってしまいました、2台目のデジカメ。 機種はパナソニックのDMC-FZ2です。
FZ2の主な特徴を書いておきますと、
といったところでしょうか。
わたしはこのすべての仕様がとても気に入りました。 200万画素機であることも含めて。 画素数の多いデジカメで撮った画像データは 大きく引き伸ばしてプリントしてもキメが細かく美しいという長所がありますが、 反面、データが大きくかさばるという欠点があります。 2Lよりも大きく写真を引き伸ばすのが稀で、 画像データをパソコンに取り込んで使いたいというわたしにとっては、 転送するにしろ、画像ソフトで編集するにしろ、 200万画素くらいが、ストレスを感じずに済んでちょうどいいと思ったのです。
そもそもなぜ高倍率ズーム機を考え始めたかと申しますと、 ズーム倍率が高いほうが背景のボケが期待できるだろうと考えたからでした。 当時のわたしは、遠くの背景にまでクッキリハッキリピントを合わせたがる いつもニコニコパンフォーカスなcoolpix2100に手を焼いており、 背景ボケに餓えていました (パンフォーカス:無限大距離までピントがあっている状態)。 なので何とかして背景のボケるデジカメを手に入れたかった。 ですからレンズが明るいということ、絞り値がマニュアルで設定できるという仕様にも 飛びつきました。 当時はもう(今もだけど)、「ボケ味命! 開放命!」モードだったんですね。 遠くのものを引き寄せたいという気持ちは、その飢餓感に比べたら、 まったくのどかな憧れでした。
だけど、画角固定で考えた場合の受光面の大きさと焦点距離との比例関係に気付いた辺りから、 少し周りが見えるようになってきました。 何もボケ味を出すのが苦手だというデジカメに、 躍起になってボケ味を期待しなくても良いのではないか、と。
確かに、コンパクトデジカメのような小ささ軽さ、フィルムフリーの気楽さで、 これまで大きな銀塩カメラで撮っていたような写真が撮れたらどんなに良いでしょう。
だけど小さい機には小さいなりのハンディがあって、それが"ボケ味"なのです。
だったらそのハンディにいつまでもこだわってないで、
もっとポジティブにデジカメの長所を引き出すことを考えたらどうだろう?
――そう考えたとき、
「もっと被写体を引き寄せられたら‥!」という憧れが、自分の気持ちの中に強くあるのに
気付きました。
それは、これまで考えないようにしていた世界でした。
遠くのものを引き寄せるためには、馬鹿でかいレンズが必要
それが、デジカメ以前の常識だったから、 非力なわたしは一生懸命、考えないようにしてきたのです。 だけど、
デジカメならそれがコンパクトに手に入る!
ということをボケ味の呪縛から放たれてはっきり認識してみたら、 いままで被写体を引き寄せられなくて悔しい想いをした あんな場面、こんな場面を一気に思い出してしまいました。
その最後のダメ押しは、つい先日横浜駅西口で見たユリカモメ。 娘のチャアがcoolpix2100でユリカモメを撮る様子を背後から見ていてときのことです。
そのユリカモメたちは、肉眼だとそんなに遠くにいるようには見えませんでした。 フェンスがあって人間が入ってこられないのをいいことに、彼らはほんのすぐそばの川端に のんびりしていたのです。
だけどそれを狙う3倍の光学ズームはすぐ振り切れて、デジタルズーム域に入ってしまいました。
「ああもう、また"変なカクカクズーム"(チャアの言うところのデジタルズーム)になっちゃったよ」とチャア。わたしは
「そんなはずないわよ。ちょっと貸してごらん」と言って自分で操作してみて驚きました。
3倍のズームでは、すぐそこにいるような気がするユリカモメを充分に引き寄せることが
できないことに気が付いて。
きっと、気持ちがフェンスを越えてユリカモメの側へ行ってしまっていたから、
近くにいるような気がしていたんですね。
それで実際と感覚との間に大きなズレが生じたのだと思います。
ところで、 光学ズームと"変なカクカクズーム"ことデジタルズームの違いはお分かりでしょうか。
光学ズームというのは、焦点距離を長くすることによって画角を狭くし、 受光面いっぱいに狭い範囲を写し込むズーミング方法です。
それに対し、デジタルズームはいわば"トリミング"。 受光面の真ん中付近の一部分だけを使い、周りのデータを捨ててしまうやり方です。
なので必然的に使用画素数は減り、画像は粗くなります。 どのくらい粗くなるかというと、 たとえば400万画素機でデジタルズームを2倍にすると、 面積にして元の画像の4分の1が切り取られるわけだから、100画素の画像となります。 3倍のデジタルズームをかければ、9分の1だから44万画素。 「デジタルズームは画質が落ちる」などと言われるのは、そういうわけなのです。
グレーの部分を切り捨て、真ん中の一部分だけを使う(左)から、画素密度が減り、粗くなる(右)。
話を元にもどしましょう。
光学3倍ズームでは物足りないと感じたわたしは、 「もしこれが12倍ズームだったとしたら、一体どれぐらい引き寄せられたのだろう?」 と撮れた画像を見ながら考えました。
三倍ズームだとこれくらい(左)だから、六倍ズームだとこれくらい(右)。
更に、12倍だとこんな感じ(下)!!
この結果を見てしまったら、もうたまりませんでした。 3倍ズームだと、ユリカモメの様子がよく分からないばかりか、 川に映った対岸の広告塔なんていう余計なものが写り込んでしまっている。 でも、これが12倍ズームであったなら、ふんわりと白いユリカモメだけが写せたのです。 ズーム倍率が高ければ高いほど、自分の撮りたいものだけが撮れるのです。
そんなわけで、わたしは本格的にFZ2購入の検討に入りました。 そして先日の被写界深度の研究により、 ボケ味もそこそこ期待できそうだぞ、と知ったわたしは、 今日FZ2を買いに走ったというわけです。
更に欲張りなわたしには、そのうちマクロコンバージョンレンズを買って、 テレマクロを楽しむなんていう野望なんかもあったりして (テレマクロ:テレ端で接写すること)。 FZ2のおかげで写真を撮る楽しみがまたぐっと増えそうです。
【Panasonic DMC-FZ2 作例】
オートで撮ったのに、早速出ました、背景ボケ!!
もお嬉しくて嬉しくて、泣きそう〜!
焦点距離55.2mm(35mm換算:420mm) 絞り値F3.7 シャッタースピード1/125sec
かけたレタッチ:リサイズ・シャープネス