国別データページ、 もとい、現地カレント情報のリニューアルは、 現地時間の表示だけでは終わりませんでした。 現地の電気事情も書いておこうと思い立ったのです。 ‥いやホント、逃避したいことがあって、スパイダーソリティアがないとなると、 別の仕事のはかどること、はかどること‥。
電圧やコンセントの形は質問されることが多く、 前から密かに、どこかに記載しておいたほうがいいんじゃないかと思っていました。 にもかかわらず、それをしないできたのは、ガイドブックに書いてあることだったからです。 ガイドブックを見れば書いてあることなのに、 質問が多いのはどうしてかな、と内心不思議に思っていました。
でも今回、その謎が解けました。
なんていうかなあ、ガイドブックには確かに書いてあるんです。
書いてはある。‥でも、その人にとって、それが答えになっているとは限らない。
たとえば、地球の歩き方リゾートのセブ編には、"フィリピンの"概要として、 「A、B3、Cいずれかの変圧プラグと変圧器が必要」 *1と書いてありますが、 これをみて「セブでは三つのうちのどれなんだいっ?!」と突っ込みたくなるのも分かります。 変換プラグセット一式すでに揃えていればともかく、これから買おうという人にとっては、 日本と同じAタイプか、それ以外か、ということは大問題です。
そして実際、国内外のサイトを調べたり、人から聞いたところによれば、 どうやらセブは日本と同じAタイプであるらしいと分かりました。 「A、B3、C」と書いてあるサイトも複数ありましたが、これは「地球の歩き方」の丸写し。 ご丁寧に誤記までそっくりそのまま写してあるので、明白です。 なので、うちのサイトでは「セブはAタイプ」で行くのもいいかな、と思い始めました。
まあこういうのは難しい問題なのですけれどね。 もしかしたらセブにも、B3やCタイプのコンセントのホテルがあるかもしれないから。 どんなに調べても、「絶対」とは言い切れない。 だから本当は、B3やCも書き添えておいたほうが無難です。 もっと言うと、Oタイプあたりも書いておいたほうが無難かもしれない。 実際、プラグ会社のサイトでは、フィリピンの欄にOタイプが記載されていることもありました。
「セブのコンセントはAタイプ」というのは、たとえば「日本の電圧は100V」というのと同じことです。
日本の電圧は100Vに統一されているわけではないし、我が家にも125Vのコンセントがあります。
エアコン用コンセントです。
更に、IHクッキングヒーター用の電源は、200Vのことが多い。
200Vのコンセントに100V用の電化製品を繋ぐと、おそらく火を噴きます。
それでも一般に「日本の電圧は100V」ということになっています。
それは100Vのコンセントのほうが、125Vや200Vよりも圧倒的に多いからに他なりません。
情報って面白いですね。
たとえば、ある地域で使われているコンセントの形状を、
Aというサイトは1種類、Bというサイトにはそれに加えてもう2種類、合計3種類記してあったとします。
あなたなら、どちらのサイトの情報を詳しいと考え、信頼しますか。
おそらく、多くの人はAの情報には"漏れ"があると考え、
Bの情報を信頼するのではないでしょうか。
そしてそれは正しい。
旅行のための実用情報として見た場合には、
より"漏れ"が少ないのが良い情報といえましょう。
標準的なものも例外的なものもひっくるめて、旅行者が遭遇しうるあらゆるコンセントタイプを
記してある情報のほうが安全パイであり、大は小を兼ねます。
でも、その国の傾向が分かりやすいのはどちらか、と考えると、答えはまた違ってきます。 傾向を見るためには、例外が省いてある情報のほうが、ある意味精度が高く、良い情報といえます。 あまり例外にこだわりすぎると、全体が見えなくなります。
さあて、わたしが目指すのは、旅行の実用情報なのか、その国の傾向なのか。 そう自分に問い掛けると、おのずと答えは見えてきました。 わたしがどうしてこういう情報をウェブサイトに書きたいのかを考えたら。
わたしはたぶん、「旅行のための実用情報」としてみんなに役立ててもらいたいからというより、 世界への国々への興味を掻きたてたいから書くののです。 国や地域の特徴が面白いと思うから、書く。 わたしと一緒に面白がってくれる人がいることを期待しているから、書く。 結局のところ、「便利だから」ではなく、「面白いから」書きたいのです。 だから、「セブのコンセントはAタイプ」が、わたしにとっては正解なのだと分かりました。
そして、こんなふうにコンセントの問題を見つめたら、ますます面白く、ますます書きたくなってきた。 実際、このコンセントの問題は、本当に面白いテーマでした。 ここ数日、リニューアルを始めてからというもの、コンセントに夢中でした。 世の中って、世界って、本当に、面白いことばかりですねえ。
――でもこの続きはまた明日。とっても長くなりそうなので。
*1 "変圧プラグ"というのは、"変換プラグ"の書き間違いと思われます。
一般には、変換プラグに変圧機能はありません。
電圧の異なる国(=ほぼ全ての外国)では、たとえコンセントの形状が同じでも、変圧器が必要です。