空港から来た道を戻る感じで6〜7分も歩くと、
ホテルのあるリゾートサイドからマリーナのあるハーバーサイドに出る。
小さな湾の中には白いヨットやらクルーザーだのが沢山止まり、
湾から道を隔てた山側にはコロニアルスタイルの商店街が軒を連ねている。
ホワイトヘブンビーチへいくファンタジー・クルーズの船着場は
湾へと坂を下った正面にあり、そこで待っていると、
ひときわ大きなカタマラン(双胴船)が順次、二艘進んできた。
双胴船というのは、幅が狭く体長の長い船二艘に跨がるようにキャビンが乗っている、
言わば中抜けの船である。船体が二つあるため安定感があり、横揺れに強いらしい。
船着場の右手は最寄りの本土シュートハーバーとの連絡船、
左手がホワイトヘブンビーチへ行く船 モナーク(王者)号であった。
シュートハーバーからの連絡船は、白人のお客をどっと吐き出し、
うさぎたちもモナーク号に乗り込んだ。
モナーク号には、百人近くの客が乗船した。子供の数も多い。それにクルーが十人ほど。
さて他に日本人は、と見回すと、いたいた!――と思ったら、それは中国人のご一家だった。
ビーチに着く前のクルージング内に、昼食を摂る。ビュッフェ式のランチだ。
品数はさほど多くはないが、野菜メニューが多い。
それにいろんなパン、ローストビーフ、ハム。
カットされた果物は大きなトレーに山盛りだ。
料理の前には長蛇の列ができていたので、
うさぎたちは欲張って小さな取り皿に料理をてんこ盛りによそった。
キャビンの食卓で食事を終えると、上のデッキに出てみた。
気温は高くないのに、日差しがじりじりと照りつける感じ。
これが「日本の5倍の紫外線」というやつか。
白砂のビーチが見えてくると、船はやおら速度を落とした。
座礁を恐れてのことだろう。
船は場所を選び、ビーチよりも数十メートル離れたところに停泊した。
さてここからは、
船の後尾につけてきた約30人乗りのいかだで砂浜までピストン輸送である。
中にはすでに水着になり、岸まで泳いでいく人もいた。
ビーチには先客がいた。十数名程度の。
あの人たちはどうやってここへ来たのだろうと思いながら海の方を仰ぐと、
ヨットやクルーザーが数隻、やはり岸から大分離れたところに泊まっていた。
いかだから砂浜までは水深数センチの浅瀬をサンダルでビチャビチャ歩く。
岸辺に上がったお客たちは思い思いに時を過ごし始めた。
砂浜にキャンプ用のテントを張る家族
木陰で昼寝を決め込む人々
砂遊びに興じる子供たち
ネネたちも早速、上に着ていたものを脱いで、水着になった。
‥と、うさぎは忘れ物に気づいた。レジャーシート。
せっかく日本からハミルトンまで持ってきたというのに‥。
お陰で荷物がみんな砂だらけになってしまった。
この砂浜は、その幅なんと6キロ。その先に、例の広大な三角州がある。
だが奥行きは狭い。波打ち際からほんの十数メートル程度先には緑の茂みが迫っている。
サファリ風のいでたちで茂みに分け入って行く人たちは、
三角州まで行こうという気なのだろうか。