夕方6時頃。きりんとうさぎはまだお腹が空いていないが、
子供たちはお腹が空いた、空いた、と大騒ぎ。
今晩はハミルトンでは最後の食事だし、ジャンクフードは一通り食べたので、
レストランで食事をすることにした。
とは言うものの、ドレスコードがあるようなファインダイニングは避けたい。
総合ラウンジの脇にあるオープンエアのレストラン、トゥーキャン・タンゴなどどうだろう?
子供は無料なのも魅力だし。
もしメニューがいまいちならハーバーサイドにでも行くことにして、とりあえず部屋を出た。
ロビー脇のカスケードの前を通ると、そこではキッズクラブ主催のパーティーをやっていた。
おっ、ラッキー、
これに参加すればキッズクラブを経験できるし、
手っとり早く食事がさせられる。
しかも無料で!
――と思ったら、時すでに遅し。そろそろお開きの時間だった。
そういえば、このパーティーの告知は、昨夜あたりどこかで見た覚えがある。
けれども、日時の感覚がなくなっている上に、英語だったこともあって、
頭を素通りしてしまったらしい。
なんだかすごく損した気分‥。
だが、がっかりしながらホテルを出て歩きかけ、 ふと振り向くと、夜空に南十字星が光っていた。
ま、いっか‥。
もしいま外に出なければ、見るのを忘れていたであろう南十字星を見て、 ちょっと気分が晴れた。
トゥーキャン・タンゴの本日のメニューはシーフード・ビュッフェだった。 あまりお腹が空いていないので、大人一人45ドル (3000円) の価格にちょっと迷ったが、 街をうろうろしているうちにチャアが眠ってしまっても困る。 辺りはもう真っ暗。もう6時半過ぎだ。それで結局、ここで食事することに決めた。
結果的にそれは正解だった。想像以上に贅沢なメニューだったからだ。
ボイルしたロブスターやカニやらエビが氷の上に山積み。
帆立てなどの魚介類を目の前で調理してくれるコーナーもある。
あえ物やサラダも10種類以上、くりぬいたスイカに色とりどりの果物が盛られ、
果物をあしらったケーキも10種類以上ある。
コーナーに並んだこれらの料理を見ているだけでも、うさぎはもうワクワクドキドキ。 残念なのは、どういうわけかいまいちお腹が空いていないこと。 一日動きまわったのに不思議なのだけれど。
もっともそう言いつつ、皿にはしっかり料理をよそってきた。 店内はとても広く、 以前はいるかを飼っていたという深いプール脇の屋外席からビュッフェコーナーは遠い。 時刻が早いせいか、季節柄か、広々とした店内に客の姿は疎らである。
さっきまで「今日の夕食はいらないかも」と言っていたきりんは張り切って魚介類を食べ、 育ち盛りで食欲の鬼と化しているネネもロブスターの半身を四つ五つ平らげた。 うさぎも一通りカニやロブスターと格闘し、焼いた帆立てに舌鼓を打ち、 サラダにドレッシングをたっぷりかけて食べた。 意外にも人気がなかったのがケーキで、子供たちもチョコレートケーキ一つでギブアップ。 甘すぎたらしい。
こういう時って、胃が大きいといいな、とつくづく思うよねー‥。
なおも料理に未練を残しつつ、 お腹が一杯になってしまったうさぎたちは仕方なくホテルに引き上げた。 金額の分だけちゃんと食べただろうかと、頭の中で計算しながら。