今日は日曜日。週末にケアンズにいるのはちょっと運がいい。
フリーマーケットをあちこちでやっているからだ。
うさぎはフリマの散策が好きだ。特に、一般家庭が出す店を見るのは楽しい。
日本のフリマでも掘り出しものが多くて楽しいが、海外のフリマではもっと楽しい。
フリマに並ぶ品物から、その国の一般家庭の暮らしぶりが伺い知れるからだ。
まずうさぎたちが向かったのはピア・マーケットプレイス。 ケアンズの街が海に突き出た岬にあり、 上の階はラディソンプラザという高級ホテルになっている オシャレなショッピングセンターである。 毎週末、ここの中央広場(屋内)でフリマが開かれるらしい。
けれど、ここのフリマはうさぎたちの期待したものではなかった。 ここの売り手は業者や商品の作り主で、一般家庭ではなく、 売り物も服や工芸品や絵画など。多分に観光客を意識したラインナップだったからだ。
ピアのフリマが期待はずれだったので、別のフリマへ行ってみることにした。 ケアンズの街を歩行者信号に怒鳴られながら縦断し、 ケアンズ駅近くのラスティース・バザールへ。
ここは、「フリマ」よりも「市」と呼ぶにふさわしい雰囲気であった。 まさに庶民のための「朝市」。売り物はニンジンなど見慣れた野菜ばかり、 売り手も「近くの農家から売りにきました」という感じの素朴ないでたちである。 残念ながら今日はすでに多くの店が引き上げてしまった後で、 広いスペースが閑散としており、 これまた一般家庭の不用品放出店はなくて期待外れであった。 でもうさぎは、その期待の外れ方がピアとは逆なのが面白いと思った。
「ピア」のフリマはあざとすぎ、
「ラスティース」の市は普通すぎた。
二ヶ所のフリマはどちらもうさぎのニーズには合わなかったけれど、 「ケアンズの二つの顔」を見せてくれた。
ガイドブック等で見るケアンズ中心街の地図は総じて、海に面して横に長い。 幅が海岸線に沿って2キロほどあるが、 奥行きは海からケアンズ駅までの500メートル程である。 海沿いのピアから駅近くのラスティース・バザールまで10分ほど歩いたことで、 うさぎたちは観光客用の地図をほぼ縦断したことになる。
その短い間に、街の雰囲気はみるみる変わっていった。 海沿いから内陸に向かうにつれ、賑やかだった街がだんだん閑散として来たのだ。 ホテルはみな海沿いに集中しているし、海の近くほどみやげ物屋や旅行代理店の数が多い。 駅の近くは空き店舗が目立ち、営業している店も、総じて地味で実用的である。
ケアンズの街は、海の近くほど観光客相手の街なのだ。 そして内陸へ行くほど、地元の人の生活の場としての姿を呈して来たのだった。 二つのフリマは、こうしたケアンズの街の二つの部分、 二つの側面をそれぞれ象徴しているように思えた。 フリマ自体はどちらも期待外れだったけれど、 その「外れ加減」には価値があったわけである。
ところで。海側でも山側でも共通して興味をひかれたものが一つある。
それは、オカルト屋の存在。
ピアの専門店街では、通路に設けられた占いか何かのコーナーで、
インドっぽい厚化粧を施したうさんくさいオバサンが
若い娘を相手にまじないか何かを施していた。
オリエンタルな香を焚きしめ、なにやら呪術的な雰囲気だ。
一方、山側にある駅ビルのケアンズセントラルでも、同じような店を何度か見かけた。
日本でも若者が集まる街には、
占い屋だの呪術的なまじないグッズを売る店が増えているような気がする。
占いだのまじないだのといったオカルトに若者が走るのは、
観光客・地元民の別なく、オーストラリア・日本の別もないらしい。
はたしてこれは、世界共通の現象なのだろうか。