飛行機に乗る前に、子供たちとうさぎは酔い止めを飲んだ。
なぜって「二階席」だから。
前にドイツでバスの二階に乗って、死ぬほど酔ったのを思い出したのだ。
でもその心配は取り越し苦労だったようだ。
飛行機はバスと違って空を飛んでいるので、一階も二階も同じ。
タイヤの振動が車体に伝わって揺れることはないのだった。
今回も飛行機の機材・従業員はカンタス。
飛行機に搭乗すると、すぐ目の前に二階席へ通じる螺旋階段があった。
これを登って行くのねー。
初めての経験にワクワク♪
二階は一階よりも幅が狭く、廊下の両脇に3座席づつしかない。 しかも、列は5列のみ。その小世界がなんだか楽しい。
うさぎたちの席は、その一列目に3つと、その後ろの窓際1座席であった。
これはラッキー!
スクリーンの前である一列目はゆったりしていて足が伸ばせるし、
窓際の席と窓の間には荷物入れがあって、その上が多目的に使える。
荷物が置けるし、ちょっとお行儀が悪いけれど、足を伸ばしてもいい。
しかも、2列目の座席の隣りは空席だ。
うさぎは1列目にきりんと子供たちを座らせ、自分は2列目の窓際に陣取った。
二階席は景色もよかった。翼が邪魔にならないから。
うさぎは、飛行機が離陸してしばらく、外を眺めつづけた。
まずケアンズ郊外の住宅街。
ハナコさんの話に出てきたような、数百坪の敷地にプールがある家が並んでいた。
そしてグレートバリアリーフ。
最初は青い海にくっきりと緑っぽいリーフが見えたが、すぐに見えなくなってしまった。
なぜって、飛行機が雲の上に出てしまったからだ。
けれど、雲の上からでも見えるものはあった。それは「山」。 パプアニューギニアの上空を飛んでいる時、雲の上に山脈が顔を出していた。 あとで地図で確認したら、ニューギニア島にはあるわあるわ、 4000メートル級の山がたくさん! 富士山より高い山だと、一万メートルの上空を飛んでいても見えるのね。
成田まで7時間強のフライトはラクだった。 その証拠に、いつもは「また着かないの〜?」を連発する子供たちが、 その言葉を一度も発しなかった。 ほんのちょっとスペースに余裕があるだけで、 精神的にも肉体的にもこんなにゆったりするのね。 わざわざ2倍ものお金を支払ってビジネスクラスに乗る人の気持ちが、 すこ〜し分かったかな。