お目当ての「ツアーデスク」は、本当に廊下に置かれた机 (デスク) 一つであった。
ここで皆は明日以降のリフト券を買った。うさぎたちもそうした。
アーリーシーズンには、ここで購入すると二日間以上のリフト券が半額になるからだ。
普通に買うと、一日あたり一人60ドル (約4500円) くらい掛かるから、これは結構な節約になる。
うさぎたちは3日券を4人分購入することにした。
ところがこれがなかなか大変だった。他の仲間たちに先駆けて、一番最初に注文を出したにも関わらず、 大人二人、子供二人分のリフト券を購入するのに、7〜8分はたっぷり掛かった。 大人は通常のリフト券の半額、子供は更にその半額、それが二人づつ。 それほど難しい計算とは思えないのだが、ナゼだか日本人の女性係員はその計算を何度も間違え、 その度に計算しなおした。 酔い止めがいまだに効いているうさぎは、ソファの上で、すとーんと眠りに落ちてははい上がり、 落ちてははい上がりを繰り返しながら彼女の計算が終わるのを待っていた。
やっとリフト券を購入し、係員の案内で、今度はレンタルスキー屋へ。
これがまた大変だった。
この店には日本人店員が何人もいて「ノープロブレム」な筈だったのだが、
店員さんたちはどいつもこいつも仕事に不慣れ。
スキー場がオープンしてからまだ何日も経っていないシーズン始めのせいだろうか。
うさぎたちは4人分の板とストックと靴を、それぞれに合ったサイズで用意してもらうのに1時間以上を費やした。
子供用はサイズが合わないと、その都度、別のサイズを地下倉庫まで取りにいき‥を何度も繰り返し、
やっと用意ができた。
大人用の装備は店内に置いてあるからラクかと思いきや、ストックの長さが左右で違っている始末。
会計時は会計時で、たかが価格をパソコンに打ち込むのに3人掛かり。
「どこに打ち込むの?」「おかしいなあ、打ち込めないよ?」などと相談しながら、機械を変えてみたり、
操作する人が交代してみたりで、これまた10分ほど掛かった。
‥もしかして、うさぎたちが今シーズン初めてのお客なの?!
こんな面倒な手続きを明日も明後日も踏むのではかなわない。 当初、天候および健康状態と相談しながら一日毎にスキー用品をレンタルしようと思っていたうさぎたちは、 この段取りの悪さにうんざりしてしまい、3日間連続で借りることにした。
――だが、これが大失敗。うさぎたちは後々、いやというほどそれを思い知らされることになる。
‥なぜって? それは、一度借りたものを返すまでは、自分で保管しなければならないから。
つまり、せっかくゲレンデ近くでレンタルしたものを、
毎日わざわざホテルへ持ちかえらなければならなかったからなのだ。