ショッピングは、最後にドラッグストアで大きなハムを買ってお終い。
このハムは、きりんがどうしても欲しくて買ったものだ。
これ、直径25センチくらいの巨大なハムで、真ん中に丸い骨が入っているところに、
なんとなく『ブタの胴体を輪切りにしましたー』というリアルさを感じる。
でも実は、これでも妥協の産物。きりんは最初、ボタモチを4分の1にカットしたような形の、
一抱えもあるハムの塊をレジに持っていこうとしていた。
「そんなバカでかいの、滞在中に食べきれるはずないじゃないの」とうさぎが諌めて、
なんとかスライスでガマンしてもらったのだ。
部屋に帰り着いて、このハムをフライパンで焼いて食べた。あまりに大きいのでフライパンからはみ出た。 焼いたらちょっとは縮むかと思いきや、大して変わらなかった。 でも、焼くほどに透明だった骨が白くなってきて、見るからにおいしそうになった。 特に、ドーナツ型の骨の中に嵌まった肉の部分がおいしそうだ。
300円分の巨大なハムは、食卓に出すと、瞬く間になくなった。 テーブルについてハムの焼き上がりを今か今かと待っていたきりんが、子供たちといっしょにかぶりつき、 うさぎの口には大して入らなかった。 味は普通のハムと変わらないが、厚みがあってペラペラとしていない、そのしっかりとした食感が良かったとみえる。
「おいしかったなあ。もっと食べたいなあ。これなら塊を買っても食べきれたんじゃないかなあ?」
と未練がましいきりん。
「いーえ! あれはゼッタイに食べ切れません!」とうさぎ。
ここできっぱり否定しておかないと、また明日にでも買って来そうでコワイのであった‥。