食事をしに外へ出たついでに、街をブラブラしていくことに。 宝クジをくれるみやげ物屋があると聞いていたので、行ってみた。
クリスタルロッジというホテルの中にあるこじんまりとした店『スマイルギフト』に入ると、 日本人のおじさんが愛想よく出迎えてくれた。 ヒゲおじさんからもらった店のチラシを4人分差し出し、宝クジを一人一枚づつ貰う。 この宝クジは銀はがしタイプで、銀で隠れた部分にはそれぞれ違った金額が書かれている。 もし6か所のうち2か所同じ金額が出れば、その金額が当たる仕組みだ。
うさぎたちはその場でコインを取り出し、さっそく銀を削ってみた。 最高で一万ドル(約75万円)が当たるというので張り切って削っていると、 おお、あるわあるわ、威勢のいい数字がたくさん並んでいる。 期待に胸を膨らませながら、なおも削る。だが、なかなか同じ数字が出ない。
結局、4枚のうち3枚ははずれ、うさぎが削った分だけが大枚2ドルをゲットした。 皆は当たった、当たったと大喜び! 元手が掛かっていないのだから、150円とはいえ、儲け物だ。
当たった宝クジは、持ち帰って自分で引き換えてもいいらしいが、 この店で買い物をする際に金券として使うこともできる。 うさぎたちはお土産にメイプルリーフのクッキーを2箱買い、その支払いの一部に宝クジを充てた。
10ドルほどのクッキーの支払いを8ドルで済ませ、店を後にすると、何だか妙にトクした気分になった。
2ドルの宝クジには当たるし、
クッキーは2ドルも安く買えたし
‥って、実際には、当たった宝くじの分が安くなっただけなのだから、トクをしたのは2ドル分だけなんだけど。 でも不思議なもので、どうも2回トクをしたような気がしてならない。
ただ2ドルおまけしてもらうよりもトクしたような気分になるのはどうしてだろう?
「宝クジに当たった瞬間」と「クッキーが安くなった瞬間」の2回嬉しい気分になれたから、 つい2回トクをしたような錯覚に陥ってしまうのだろうか。 一粒で二度おいしい、っていうキャンディーの宣伝があったけど、これはまさにその状態である。
そして、実際に一番トクをしているのは、客の方ではなく、店の方なのかもしれない。
@ 宝クジを配ることで、客が店に呼べる。
A 客の宝クジが当たれば、サイフの紐が緩くなった客に買い物をしてもらえる。
B 客が買い物の代金に宝クジを充当すれば、「安く買えた」というイメージを客に植えつけることができる。
――なんと、一粒で二度どころか、三度おいしいではないか。