ホテルに帰り着くと、今日はうさぎが子供たちに付き合ってジャグジーへ行った。 昨日とは逆で、今日はきりんが買い出し係、うさぎが子供たちのお付き合い係なのだ。
ホテルの部屋には人数分の白いバスローブが置いてある。 ジャグジーに行く時は、水着の上にこれを羽織った恰好で行ってよい、と案内に書いてあった。 だらしのない恰好だが、向こうで着替える面倒がなくてありがたい。 バスローブは大人用なのでチャアにはどうにも大きいが、 それでも裾をズルズル引きずりながらイッチョマエに歩いて行くのが、なんともかわいい。
一階までエレベーターを降りたら、エントランス前のロビーを通って、プールゾーンへ。 ここは外部の人が立ち入れないように部屋のカードキーで扉を開ける仕組みで、 中にはジャグジーと温水プールのみならず、アスレチック・ジムもある充実ぶりだった。
ジャグジーは、屋内に一つ、屋外にもう一つあった。屋外のは屋内のよりもだいぶ熱めのお湯加減。 さすがに外は気温が低いので、ジャグジーからモウモウと湯煙が上がっており、 まさに『西洋露天風呂』といった趣きである。 プールは凸型で、大部分は屋外にあるが、出っ張った部分だけが屋内に乗り入れている。
プールとジャグジー、ここの水遊びの面白さはその『温度差』にある。 冷たい外気と、屋外の熱いジャグジー、屋内の暖かいジャグジー、それにぬるいプール。 この四つの温度差を、体で感じて楽しむ。それはこれまで経験したことのない不思議な面白さだった。 プール自体はごく普通の角型、ジャグジーも普通の丸い形で、特に趣向が凝らされているわけでもなく、 そういう意味で言ったら南国のホテルの素晴らしいラグーンプールにはとても及ばないのだが、 この温度差が、とにかく飽きさせない。 今日は雪が降ったので、プールサイドにも雪が積もっており、雪を踏んだりジャグジーに入れたりして、 雪の冷たさで更に遊べた。
また、もう一つ面白いのが、一見、プールにはぬるくて入れそうにないと思えること。 最初の日、プールに足先をつけてみたらかなり生ぬるく感じ、とても入れそうにないと思った。 ところが今日は、子供たちが「全然寒くないよー」と言うので、内心縮み上がりながらこわごわ入って見ると、 確かに。 外の熱いジャグジーで体を温めてから入ると、意外にもそのぬるさ加減が丁度よくて、 しばらく泳いでいられるのだった。
プールで泳いでいると、プールエリアに初めて入ってきた人が、
驚嘆と羨望の入り交じった眼差しでチラチラこっちを見る。
それがまた堪らない。ここへ初めてきた人は、誰しも「プールにはとても寒くて入れそうにない」と思うらしい。
うさぎも最初に来た時は、プールで泳いでいる人を見て、
「西洋人って体のデキが日本人と違うのね、きっと」と思ったもんな。
それでやはり驚嘆と羨望の眼差しを向けたものだった。
後から来た人たちも、プールで泳げることに早晩気づくことになろうが、それまでしばし優越感に浸るとしよう。 これみよがしに、わざと平気な顔をして泳いで見せたりなんかして‥。
「すごーい、あの人。寒くないのかなー?」といった顔つきで見られると、
たまらなく嬉し〜い♪♪
日頃寒がりなうさぎのささやかな雪辱戦かな。