Spain  スペイン周遊

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【 プロローグ 】

夫のきりんが勤続25年のご褒美として、職場から2週間の特別休暇をもらえることになったのが、 スペイン旅行のきっかけでした。

スペインは、きりんがずっと行ってみたかった国。 新婚旅行の行き先からして、当初はスペインの予定でした。 手ごろな値段のスペインツアーが見つからず、実際は格安ツアーでイタリアへ行ったのですが。

そんなわけで、スペインに足を踏み入れるチャンスはないまま、子どもが産まれ、育ち、巣立ちました。 夫婦二人の生活に戻った今、20代だった二人は50代の熟年夫婦になっていました。

◆◆◆

最初は、13万円弱という値段の安さに惹かれ、添乗員付きの格安ツアーを申し込みました。 値段の安さに惹かれてしまうあたり、新婚当時とまるっきり変わっていない(笑)。

でもツアーの日程を見れば見るほど、だんだん不満が出てきました。 せっかく休みが2週間あるのに、8日間では物足りない、バスの移動時間が長すぎる、 さして興味のない場所は訪れるのに、肝心のスポットは素通り・・・などなど。

そこでこのツアーはキャンセルし、添乗員付きでなく、自分で自由に回れるツアーを別に探しました。

そういうツアーは、探せば沢山ありました。 ただ大抵、一都市滞在型なのですね。 なかなか周遊型でフリープランというのはない。

なんとしてもグラナダとバルセロナは両方行きたかったので、個人旅行も考えました。 ただ自分でやるとなると、列車や国内線移動の手配が面倒。 そもそも自分の立てた日程が物理的に可能かどうかも、土地勘がないから分からない。 ちょっと個人手配には踏み切れませんでした。

ところが運よく、周遊型で、しかもとてつもなく自由度の高いツアーを見つけたのです。 STW(エス・ティー・ワールド)のツアーでした。

マドリッドとグラナダとバルセロナの三都市を巡り、ホテルは変更可能。 いずれの都市でも延泊可能、移動時間も選択可能。 え、これってほんとにツアーって言えるの?!というくらい自由度が高かった。

しかも、8日間のベーシックプランは9万円ちょっとの低価格。 長距離移動がバスではなく、高速鉄道と国内線というのも気に入りました。 とにかく、夢のようでした。

それでも不安はけっこう大きかったです。 添乗員やガイドもいない状態で、街から街へ自力で移動というのは初めての経験でしたから。 ホテルから駅や空港まで重い荷物を持って移動し、ちゃんと周遊して帰ってこられるのか?

一つ良かったのは、うさぎがスペイン語ができたことです。 ペラペラとは言いませんが、通訳案内士の資格までは取りましたから、 道を尋ねたり、簡単な交渉程度なら、多少パニクっていてもこなせる。 いざというとき現地の言葉ができるというのは安心材料でした。

そんなわけで、「何事も初めてやるときは初心者なのだから、とにかくやってみるべ」ということで、 ツアーを徹底的にカスタマイズ。 一般的に有名でも自分たちにとって興味のない場所は省き、行きたい場所には時間的余裕を見て、 当初のツアー内容からすると、換骨奪胎の感のある日程を組みました。

結果、

マドリッド2泊 → グラナダ1泊 → バルセロナ2泊 合計5泊8日

というベーシックプランは、

アランフェス3泊 → コルドバ下車 → グラナダ4泊 → バルセロナ2泊 合計9泊12日

という形になりました。宿泊も全て好みのホテルに変更しました。 さすがにB&Bは無理でしたが、パラドールだろうが何だろうが、選び放題でした。

しかも、一部自分で別手配という手段もあり。 グラナダで希望したホテル「パラシオ・デ・サンタ・イネス」は、 STW経由の予約だとキャンセル条件が厳しすぎることから、 そこだけBooking.comで自己手配するというワガママぶり。

このカスタマイズのやりとりにかかったメールのやり取り、なんと28通! ツアーという名目なので、手配料も発生せず、自己手配した分のホテル代は差し引いてくれ、 当初こちらが予定していた周遊方法に無理があることも現地に確認の上、指摘してくれました。

こんな面倒くさいカスタマイズを文句一つ言わず受け付けてくれ、 よくここまでやってくれるなあと、STWの担当者さんにはただただ感謝感謝でした。

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