ラ・マンチャ地方の風車名所は二ヶ所に絞られます。 カンポ・デ・クリプターナか、コンスエラか。 複数の風車が並んでいるのを見たいとなると、この二ヶ所に絞られるようです。
アランフェスからは、コンスエラのほうが位置的には近いのですが、鉄道の駅から遠いため、 カンポ・デ・クリプターナ(Campo de Criptana)へ行くことにしました。
カンポ・デ・クリプターナは、アランフェスから行くと、Renfe(スペイン国鉄)の中距離列車(MD)でアルカサル(Alcázar)まで約50分、 そこから乗り換えて一駅6分。 ちなみにマドリードのアトーチャ駅からも同じ経路で行かれます。
・・・というと、簡単なようですが、何しろ本数が少ない! 特にアルカサルーカンポ・デ・クリプターナ間は支線で本数が極端に少なく、 マドリッド方面からの列車との接続を考えると、使えるのは実質一日2本。 まあアルカサルーカンポ・デ・クリプターナ間は近いので、タクシーやバスを使うという手もありますが、 バスの本数も多くはなく、タクシーは携帯電話がないと呼ぶすべがない。 一応観光地のはずですが、大半の観光客は観光バスでやってくるので、 観光客におあつらえ向きな足の便が用意されてはいないのでした。
カンポ・デ・クリプターナの駅から風車の丘までは、約2キロ。 遠くの丘の上に見える風車めざし、駅からひたすらひたすら25分ほど、歩きました。
不思議なのは、アランフェスといい、カンポ・デ・クリプターナといい、 駅の周りは閑散として何もなく、駅からだいぶ離れたところに町の中心があることです。 駅から遠ざかるほど、賑やかになってきました。
街並みは美しく、家々はañil(藍色)、almagre(赤銅色)、albero(黄土色)をポイントカラーにした家が多かったです。 あとで聞いたところによれば、新しく建てる家の外壁はこの三色のいずれかをポイントにするという建築規制があるそうです。 特に、風車の立つ丘の頂上に近づくにつれ、街並みは藍と白で統一されてきました。
丘の上の風車は10機ほど。 中を見学できるのもありましたが、ほとんどは外から眺めるだけで、1時間もあれば、十分見学できてしまいます。 実際、観光客を乗せたバスがやってきては、1時間足らずで見学を終えて帰っていく。
午前中には一通り風車を見学し終えたわたしたちも、12時50分の列車でアランフェスへ帰ろうかとも思いましたが、 せっかく来たのだから、夕方の風車も見て帰ろうと、次の18:45分の電車まで、この村で待つことにしました。
観光地のはずですが、レストランやカフェなどはほとんどなく、あってもシエスタで閉まってしまい、 博物館に入ったり、冬のさなかに陽だまりのベンチに座り、スーパーで買ったポテチと缶コーヒーを片手に日没を待ちました。
我ながら効率の悪い旅でしたが、あてどもない町歩きも、悪くないものです。 10機の風車のうち一つは、中が観光案内所になっていて、 そこでもらった村の地図を片手に、村を歩き回りました。
そしてやっと迎えた夕方の風車は、昼間の風車とは趣が異なり、素晴らしいものでした。
本当は、夜のライトアップも間近で見たかったのですが、列車の時間が決まっていたため、後ろ髪を引かれつつ、駅へと向かいました。 駅に到着した頃、ライトアップされた風車が丘の上に小さく見えました。 夜空にくっきりと浮かんだ白い風車はとてもきれいでした。