Essay  うさぎの旅ヒント

【 パパとママが一番知りたいこと 】

旅行サイトのチェックは、わが家の日常的なお仕事である。
次はどこへ行こうか、行きたいか。 それを固めるために、きりんは常時、旅行サイトをサーフィンしている。 きりんが薦めてくれたサイトはうさぎも読む。そして二人で盛り上がる。

行き先がおおよそ決まると、ホテルの施設など、細かい情報の収集に入る。 これもきりんが探してきた膨大な量の情報を、うさぎが隅から隅まで丹念に読む。 観光局の公式サイト、ガイドブックのサイト、個人の旅行サイト‥。 山のような情報に埋もれて、訳が分からなくなりながら読む。 時にきりんは英語で書かれたサイトも探してくるので、 うさぎは辞書を引き引き、汗だくになって読む。 きっとこれは意地悪なんかじゃなく、 うさぎの英語力を高めようとするきりんの親心だと思って、ありがたく読ませていただく。 大切だと思う部分はプリントアウトして、赤でアンダーラインを引いておく。

こうしてホテルが決まり、行きたいところ、やりたいこと、見たいものが決まってゆく。 それを実行に移すための手筈も整ってくる。 本当に、いつもいつも、旅行サイトにはお世話になりっぱなしである。

ところで、子連れ旅行の際、きりんとうさぎが最も知りたいこと――それは、

子供が喜ぶかどうか

である。 その知りたさ加減といったら、 「ホテルの部屋にドライヤーがあるかどうか」とか「アクティビティの正確な価格」 といった情報の比ではない。 部屋にドライヤーがなかったからといって、 アクティビティーの価格がちょっとばかり高かったからといって 旅行が台無しになることはないが、 子供が飽きてぐずぐず言い出したら、旅行は一瞬で台無しになるからである。

ところが、この一番知りたい情報がなかなか見つからない。 法人系のサイトにはありっこない情報なので、個人の旅行サイトだけが頼りなのだが、 子連れ旅行のサイトでも、あんがい子供の反応は書かれていない。 「子供向けレストランの場所」とか「子供向けスポットに何があったかなかったか」など、 客観的な情報については事細かに書いてあったとしても、 「実際に子供がどんな反応を示したか」といういわば"主観的な情報"は 省かれてしまっているのだ。

もしかしたら、ウェブマスターのみなさんは、 「うちの子は喜んでいたけれど、よその子だったらどうかは分からないから、 書いても無意味なんじゃないか」と思って省いてしまわれるのかもしれない。
でも、そのお宅のお子さんの年齢、性別が分かれば、 「うちの子だったらどうかな」と考える手がかりになるし、 「何が子供を喜ばせたのか」まで分析して書いてあれば、 「そういうものに対しては、ウチの子ならきっとこうだろう」という見当がおおよそ付く。 だからそれを書くことは決して無意味ではないのだ。

どんな情報が知りたいか、どんな旅行にしたいのか。それは人によって千差万別だろう。 子連れでない方はもちろん、 子連れであっても、「子どもが示した反応」なんて全然知りたいとは思わない方も、 もしかしたらいらっしゃるかもしれない。 でも、きりんとうさぎにとっては、ネネとチャアが喜ぶかどうか、それが一番大事。 だからうさぎはわが家の旅行記に、せっせとネネとチャアの様子を綴るのである。

2002年2月2日 うさぎ

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