Essay  うさぎの旅ヒント

【 パンツ機内持込主義 】

わが家は飛行機に乗るとき荷物を預けるのが嫌いである。 荷物を預けると、どうも良くないことが起こるような気がしてならない。 壊されたり、盗まれたり、ヘンな国に送られちゃったり。

それで、各自が背負っていくリュックサックはもちろん、 4人分の衣類などが詰まったボストンバッグまで、 全ての荷物を機内に持ち込むことがままある。 ばかでかいスーツケースならともかく、わが家のボストンバッグくらいの大きさなら、 機内持込みはたいていの場合、全然オッケーである。

また、ボストンバッグを預けると決めたときには、 もしこれが紛失したら‥と思うと恐ろしくて、 ボストンの中のあれやこれやをリュックに移す。 カメラでしょ、ビデオでしょ、筆記用具でしょ、ジャケットでしょ、 歯磨きセットでしょ、薬類でしょ、着替えでしょ‥。 リュックは不恰好に膨れ上がり、ずしりと重くなる。 なんか、ボストンを預けるご利益がいまいち感じられなくてガッカリ。 でもしょうがない。不安なんだもん!

重いリュックを背負ってコンコースを歩く。 周りを見回すと、手ぶら同然、 せいぜい小さなバッグ一つで颯爽と歩いている人の姿が目に入る。 ――なんでわが家だけバックパッカーのいでたちで、重い荷物に汗してるかなー、 と情けなくなる。 やっぱり荷物を移しかえなければよかった、と思う。

けれど先日、友人からある逸話を聞いて、 この「機内持込み主義」もあながち間違いではないと確信した。

それは、スーツケースがやはり手違いでどっか全然違う国に送られちゃった話で、 衣類が全く手元にないという状態に陥った彼女は、ホテルでシャワーを浴びたあと、 なんとパンツをはきかえることができなかったのである!

一度脱いだパンツを、また履かなければならないほど惨めなことが他にあろうか?
そんな恐ろしい窮地に立たされる危険に晒されるくらいなら、 リュックの重さなど、なんだというのだろう? やっぱり次回もリュックにはあれやこれや詰めていこう、と思ったうさぎであった。 とくにパンツは、決して忘れてはならない。

みなさんも、パンツだけはサイドバッグにしのばせて行こうね!

2002年2月16日 うさぎ

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