【 ラーメン 】海外旅行から帰ってくると、無性に食べたくなるものがある。それはラーメン。 とくにしょうゆラーメンが食べたい。 だから、家に帰りつくと、まず近所のスーパーにラーメンを買いに走る。 そしてこの時ばかりは金に糸目をつけず、一番良さそうな生麺を買ってきて茹でる。
うさぎはラーメンが好きだが、だからといって、日常的に食すほどではない。
普段は一月に一度か、せいぜい二度食べる程度である。
しかも一番好きなのはとんこつで、しょうゆラーメンはさほどでもない。 まず、海外から帰ってくればラーメン、というパターンができてしまっていて、 それでパブロフ状態になるのかな、と思った。 でも、そもそもいつどこでどうして、そんなパターンができてしまったのだろう。 次に、特定の栄養素が、海外での慣れない食生活のなかで不足してきて、 それを補うために体がラーメンを欲しているのかもしれない、と考えてみた。 もともとうさぎの体は栄養素の不足に敏感で、 どんな食品にどんな栄養素が豊富に含まれているのか、頭よりも体の方がよく知っている。 何かが不足すれば、その栄養を豊富に含む食品が食べたくなるようにできているのだ。 たとえば妊娠中、なぜか赤飯が無性に食べたくて、毎日飽きずに食べ続けた。 ある日、さすがに不思議に思って食品成分表を開いてみると、 小豆には鉄分が豊富であることが分かり、なるほどと思ったものだ。
では、海外ではどんな栄養が不足するのだろうか。
しょうゆラーメン――醤油――大豆とルーツをたどり、食品成分表で大豆の項を見ると、
その成分で突出しているのはカルシウムであった。 だったら一体なにが不足なのだろう? アルバムを見ながら食事内容を思い出してみると、塩分が少ないような気がした。 日頃とりたてて塩分の多い食事をしているつもりはないが、 日本は島国だから、昔から塩が簡単に手に入る。 そのせいか、味噌汁やら漬物やら煮物やら、日本食はけっこうしょっぱいものが多い。 諸外国の食事よりも、確かに塩分が多いかもしれない。 ‥と、あれこれごちゃごちゃ考えながら夕飯を作っていて、はたと気付いた。 体が求めているのは、栄養素ではなくて、味の方かもしれない、と。 だって日本にいて食事を作るとき、醤油を使わない日があるだろうか。 煮物に醤油を使い、焼き魚に醤油を掛け、炒め物にも入れ、蒸し物にさえ添える。 まさに醤油なしではやっていけない食生活だ。 それが、一週間、醤油とは無縁の生活をしたら‥。 やっぱり禁断症状が起こっても、仕方がないのかもしれない。 2002年3月2日 うさぎ |
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