スパイボートを取りにいった時のこと。 ブレの立っている林の中の道なき道を歩いていたら、とある木陰に赤いハンモックがぶら下がっていた。
早速寝そべってみると、いい気持ちだった。
ブランコのように揺れたら酔ってしまう、と思いきや、自分で揺らさない限りは揺れない。
あたりには心地よい風が吹き、ときどき上からハラハラと落ち葉が降ってくる。
風が葉をゆらす音、落ち葉がカラカラと地面を転がる音‥。
どこか近くでオーケストラがウェーバーの「魔弾の射手」を演奏しはじめたと思ったら、
それは飛行機が離陸する時にプロペラが回る音だった。
ふあああ‥。このまま昼寝に入ってしまいたい。
あと2〜3日マナにいられるなら、こういうことでつぶすヒマもあるんだけれど‥。
飛行機の離着陸音を聞きながらしばらく寝そべっていたが、やっぱりこんなところでいつまで怠けてもいられない。
しかたなく起き上がってハンモックから降りた。
が、それにはちょっと技術が要るのだった。
うまーく左右のバランスを取りながら降りないと、ハンモックが傾いて、
ゴロリンと地面に放り出されそうになるのだ。
足を左右のどちらかに揃えると、たちまちハンモックが傾いてしまうので、
うさぎはカニのように左右に足を広げて地面に付けてから身を起こして立ち上がった。
最初は、お尻が地面につきそうなくらい低い位置にぶら下がったハンモックを見て、 「どうしてこんな低い位置に吊るしたのだろう」と思ったものだが、高い位置にハンモックを吊るしてしまったら、 そこからどうやって降りればいいのだろう?