Guam  丘の上のリゾート・レオパレス

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【 アメリカのバーゲン 】

ハイアットから10分ほど坂を登ってようやくウェスティンにたどり着き、レオパレス行きのバスに乗り込むと、 みなぐったりとしていた。 病気のきりんは言うに及ばず、丸一日プールで思う存分遊んだ子どもたちも疲れて眠ってしまった。 ところが、うさぎだけはまだ遊び足りない。だって今日はまだお買い物に行っていない。 これで一日が終わってしまうのはいやだ。こんな状況では明日だってどういう一日になるのやら分からないというのに――。

そんなわけで、うつらうつらしている3人をバスに残し、うさぎだけアガニャSCで途中下車して買い物を楽しむことにした。

バスから降りると、まずうさぎは本屋へ走っていき、店内を隅から隅までじっくり見て、 グアム料理の本と子ども向けのバレエの本を3冊買った。店の名は「フェイス (信仰、誠実) ブックセンター」。 実際、店の雰囲気はなんとなくそんな感じだ。 レジでは、神経質そうな若くて長身の白人男性が、客一人一人に「メリークリスマス」と言いながら品物を手渡してくれた。

本屋で買い物を済ませると、うさぎはすぐ次のバス便で帰ろうと、バス停まで走った。 けれど乗り遅れてしまった。仕方がないので、タウンハウスまで足をのばしたのだが、これがよかった。

タウンハウスに一歩足を踏み入れると、そこはおととい、きのう見たタウンハウスと雰囲気が違っていた。 なんだかやたらと混んでいる。レジは長蛇の列。そして熱気ムンムン。これはただ事じゃあないぞ――。
折から入った店内放送をよく聞くと、どうやら今日はバーゲンらしい。見れば、そここちらの値札が書き換えられている。 しかも、レジで詳しく尋ねてみれば、「赤札商品も含めて、更に一律15%オフ」なのだそうだ。

こいつは腕が鳴るぜ!!

うさぎはまず、子供用のパーティードレスを物色した。 きのうもおとといも、見るたびに欲しくて欲しくてたまらなかったドレス。 定価でも高いとは思わないこの値段が更に15%オフだと思うと無性に欲しかったけれど、やはり半袖なのが気になって、 遂に諦めた。 これをネネとチャアに着せて大きなクリスマスツリーの前で写真が撮りたいけど、 タンスの肥やしを作ってもしょうがないもんね‥。

次に物色したのが、クリスマスグッズ。これは安かった。 おととい$12で迷い、昨日は$6でやっぱり迷ったアップリケ満載の飾り用クリスマスソックスが、 今日はついに$3!! これには迷わず「買い」を入れた。 その他にも、ドア飾りやツリーの根元に掛ける布などを捨て値1ドルでゲットした。 しかも、レジでそのトータルに15%オフが掛けられたのを見た時には、分かってはいたけれど感動してしまった。

タウンハウスですっかり満ち足り、帰りしなに、うさぎは再びフェイスブックセンターに寄った。 ここでいちご模様の素敵な一筆箋や、クリスマスステッカー、それに封筒が狙いでクリスマスカードを買った。 こういった商品を見ると、やはりアメリカの消費文化に憧れがつのる。 何しろ華やかでロマンチックなのだ。いつまで見ていても飽きないくらい――。

本屋のレジで、ロコのおばさんが店員に尋ねていた。「ここは15%オフにならないの?」と。
店員さんは「ノー、ソーリー」という返事を返していたが、 JTBで貰ったコンチャカードを提示したうさぎの買い物は全て15%オフになった。 うさぎはレシートでそれを確かめると、ほくそえんだ。 別に15パーセントくらい安かったからってどうってことはないだろうに、「普通よりも安く買えた」と思うと、 どうしてこんなに気分がいいのだろう?

買い物が終わり、ほくほくしながらバスに乗り込む。うさぎは本当に満足だった。 1ドル均一のクリスマスグッズに本4冊に便箋・ステッカー。 大して買ってはいないのだけれど、「アメリカのバーゲンを戦いきった」のが嬉しく、もうすっかり満足してしまった。

9時前にレオパレスの部屋に帰り着くと、3人ともベッドの上にいた。 けれど、ダウンしているきりんの脇で、ネネとチャアはうまく寝付けず、ゴロゴロしていた。よしよし、起きてたなー♪  うさぎは早速ベッドの上に戦利品を広げ、二人に見せた。 二人は買ってきた「くるみ割り人形」の絵本を翻訳しながら読んでやると、 だんだん眠くなってきたらしい。読み終えて「おやすみ」を言うと、すーっと眠ってしまった。
どこからかクリスマスソングがかすかに聞こえる。 じっと耳を澄まして音源をたどってみると、 それは夜中の12時までライトをつけてお客の為に待機しているプールから聞こえてくるのだった。

ベッドの上に広げたクリスマス飾り、
窓の外からかすかに聞こえるノエル、
「くるみ割り人形」の絵本で眠りについた子どもたちの寝顔。

なんてクリスマスらしい光景なのだろう、とうさぎは思った。

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