Guam  丘の上のリゾート・レオパレス

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【 早朝帰国便 】

早朝4時。モーニングコールで起きた。今日はいよいよ帰国である。
冷蔵庫の中にはまだ随分食べ物が残っていた。 腐らないものは荷物に詰め、腐りそうなものはキッチンの大きなごみ箱に捨てたが、 まだ開けてもいない豚肉のパックだけは捨てるに忍びず、 もしかしたらルームメイドさんが持って帰って食べてくれるかも‥という淡い期待をしながら、冷蔵庫の中に入れておいた。 まったく、あの1リットルのレモンジュースを惜しんだばっかりにお腹をこわし、こんなにたくさんの食材を無駄にするとは。 まさに、一文惜しみの百知らず、といったところだ。

5時前にはもうチェックアウトも済ませ、空港に到着したのもまだ5時20分のことだった。 そこでツアーの係員から搭乗券を受け取り、空港の窓口にそれを見せると、7時の搭乗まであとは何もやることがなくなった。

出発ゲートのフロアである二階には背もたれのないソファが置いてあった。 子どもたちと、体調の悪いきりんの3人はソファに倒れこむと、眠ってしまった。 残されたうさぎは仕方なく、ラッテストーンを模した巨大なオブジェなどを眺めながら時間を潰した。 本当はうさぎもかなり眠いのだ。油断したら吸い込まれてしまいそうな眠気が絶えず襲ってくる。 でも、うさぎが眠ってしまったら最後、飛行機に乗り遅れてしまいそう。だから起きていなくては。

しばらく3人を休ませたあと、もうすこし搭乗口に近くへ移動することにした。 けれどそれにはセキュリティチェックを通過しなければならない。通過した中にも横になれそうは場所があるだろうか。 うさぎは、近くにいるチャモロ人の係員に尋ねた。
この係員は丸っこい体型の中年の女性で、話好きなオバサンだった。 「日本人か?」と聞き取りづらい英語で尋ねるので、「そうだ」と答えると、自分は日本人との混血で、母が大阪にいて、 そのうち自分も行くつもりだ‥というような話をしはじめた。うーむ、本当だろうか。 オバサンの顔つきは、どうみても日本の血が混じっているようには見えないし、第一、日本語を全然しゃべらない。 ホラ話じゃないのかなー、と思いながら相槌を打った。

オバサンの話を適当に切上げ、セキュリティチェックを通過すると、中の方が却って広かった。免税店も何軒かある。 外には店もなかったのに。ソファの数も中の方が多く、三人は居場所を確保すると、また眠ってしまった。 うさぎも座っていると眠ってしまいそうだったので、免税店で暇を潰すことにした。 クッキー、ビーフジャーキー、キーホルダーの類‥。 新鮮味のない品ぞろえだけれど、こういう定番のおみやげはやっぱり便利。 義理みやげが足りていないのを思い出し、 うさぎもここで「チャモロクッキー」2袋と「ソフトビーフジャーキー」5袋を買った。

その後、長い長い廊下を通り、ゲートへ。帰国便に搭乗すると、ほっとして、うさぎも眠ってしまった。 あとは飛行機が日本まで運んでくれる‥。

あともう1時間で日本に着くという頃。チャアが起き、早速ヒマを持て余してブツブツ言いだした。曰く、
「何でここでは何も出てこないのかなあ」
「何も、って何が?」とうさぎ。
「遊ぶものとかだよ。お姉さんが何も持ってきてくれない」
??? 何のことやら‥?
でも後になって気がついた。プーケットの時は、機内で色々なものをクルーがくれた。チャアは今回もそれを期待していたのだ。

飛行機が成田に降り立ったのは、まだ朝の10時40分のことだった。 うさぎたちは飛行機のタラップを降り、バスでターミナルビルへと向かった。

成田から電車でわが街へと帰ってきたのも、まだ昼過ぎだった。 何だか不思議。今朝までグアムにいたのに、どうしてこんな昼間にこんなところにいるのだろう?

‥それにしても、お腹が空いた。特にラーメンが食べたい。 何ヵ月も行ってたわけではない、たった4日海外にいただけなのに、無性にラーメンが食べたい。
「食欲はない、早く家に帰りたい」というきりんには先に家に帰ってもらい、ネネとチャアと3人で小さなラーメン屋に入り、 ラーメンを食べた。 荷物の多さが海外に行ってきた名残を留めてはいるが、それ以外はどこといって変わったところのないいでたちだ。 朝には蒸し暑い南の島にいたのに、昼には真冬の国でラーメンをすすっているだなんて、不思議。
「このまま家に帰って、あと半日、どんなふうに過ごせばいいんだろう‥?」と戸惑い、まだ家に帰りたくない気分がした。 でも、山のような荷物を抱えてどこに行くわけにもいかない。ラーメン屋を出ると、そのまま家に帰った。

家に帰り着いても、今日という日がまだ半分残っていた。 うさぎは洗濯機を回すと、他には何をするでもなく、ぼんやりと半日を過ごした。 海外から帰ってきたその日に、まだ一日が終わらないで残っている。それは初めての経験で、なんとも不思議だった。

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