リーフホテルには、朝食の取れるレストランが二つある。ビュッフェ式の『アリゼ』と、日本食の『さんご』。
ツアーに付いてきた朝食用ミールクーポンはどちらのレストランでも使えるのがありがたい。
今朝の朝食は、とりあえず『さんご』。朝食のメニューは『ご飯定食』と『お粥定食』の二種類。
それで、ままりんはお粥、うさぎはご飯にしてみた。
日本食の店だけあって、店内の内装は和風。
「あらまあ、日本とちっとも変わらないじゃないの!」とままりんが驚く。
確かに、椅子もテーブルもカウンターも和風のしつらえ。
三味線のカラカラいう音で懐かしい唱歌が奏でられ、歌の好きなままりんを喜ばせた。
給仕は男も女も作務衣姿。ただ、その作務衣姿の給仕は、一人を除いて皆チャモロ人である。
「うーん、こういうところがいいのよねー♪」と悦に入るうさぎ。
文化や様式は容易に模倣できるが、どっこい、人間様だけはそう簡単には模倣が効かない。
そこが、海外に出た時、面白いところなのだ。
出てきた定食は、まさに日本食。みそ汁、納豆、卵焼き、焼き魚、あえ物、漬物など。
もちろんご飯が長粒米だったりはしない。
「これ、お金を払って食べると、一食20ドルもするのよー! 1ドル100円としたって、2000円よー」
とままりんがチェックを入れる。
「ふーん、そうなのー」とうさぎ。日頃はケチなうさぎも、
自分のサイフが痛まないとなるとひたすらおおらかになる。
〔それより、ミールクーポンを使っても、チップって払うのかなー?〕とすでにチップの心配。
考えてみたら、ミールクーポンなんて使うの、初めてだもんなー。
ままりんは焼き鮭を半分残したが、うさぎは自分の料理をすっかり平らげた。食べている間に、
「ミールクーポンを使用すれば、チップの心配もいりません」とどこかに書いてあったのをかすかに思い出し、
給仕にクーポン券を渡して店を出た。今回は、初っぱなからチップの心配ばかりしている。