【 正しい飛行機の乗り継ぎ方 】
飛行機は９時過ぎにペナンを発ち、10時にクアラルンプールに着いた。いよいよ乗換である。成田行きは11時発。 10時15分には搭乗を開始するので、気ぜわしい。セパン国際空港はやたら広いし、出国手続きもせねばならない。
うさぎは国内線を降りる時の行列からイライラしはじめ、飛行機を降りると小走りになった。 今回はトランスファーデスクが難なく見つかり、乗り継ぎ用の出国審査もすぐにわかった。 だが、出国審査口は列をなしていて、ここでまたイライラした。 大体、何で出国審査のカウンターがほんの数列しかないんだろう。 国内線で飛んできて、国際線で自国に帰ろうとする人々がここに殺到するのに。一人当たり75秒の処理も怪しいものだ。 うさぎたちは出国審査を通過すると、エアロトレインめがけて突き進んだ。
サテライトに着くと、うさぎはようやく落ちついた。現在10時25分。 よかった、搭乗開始には間に合わなかったが、出発までには充分だ。
エアロトレインの降車口からサテライトの中心部に歩を進めると、きらびやかな免税店街がおいでおいでと手招きをしていた。
ちょっと覗いてみようかな、ほんの５分だけ‥。
乗換えに王手をかけた安心感で、ふとそう思う。
‥いけない、いけない！
うさぎは首を振った。サムさんがあれだけ念を押していたじゃないか、「免税店に寄ってはいけない」と。 買い物という魔物に取り憑かれたら、５分が10分、10分が15分になる。そうして飛行機に乗り遅れるのだ。
ここは、さっさと飛行機に乗ってしまうのが賢明だ。 うさぎたちは代わりばんこにトイレを済ませ、10時36分、成田行きの飛行機に乗り込んだ。