6時前、空港に到着。バスに乗っているたった10分の間にどんどん夜が明け、ついにすっかり朝になった。 でも空港はまだ開いていない。なんせ扉がしまっていて中に入れないのだ。 空港って24時間営業だと思っていたけれど、そうじゃないのね。
6時にようやく扉が開いた。うさぎたちは列に並んでセキュリティチェックを通過した。
空港内に入るのにもセキュリティチェックがあるなんて、初めて。
チェックインカウンターの前で見回すと、周りは全て日本人だった。同じ飛行機で成田に帰るお仲間たちだ。
うさぎたちは出国カードの記入をすませると、かわりばんこにトイレへ。
トイレのドアを開ける緊張の一瞬! でもよかった、今回もチップぼったくりオバサンはいなかった。
空港税の支払い窓口を抜け、お次は出国審査。いろんな関所を抜けていくあたり、「注文の多い料理店」を思い出す。
出国審査の審査官は妙なノリのおじさんで、パスポートを4人分渡すと、不満げにチッチッと舌を鳴らした。
慌てて出国カードを差し出すと、それでよし、というように重々しく頷いた。
ところが、こんどは入国時のビザスタンプが見つからない。どうやら入国審査官が変なページに押してしまったようだ。
おじさんは妙にノリのいいしかめっつらでうなり声を出し、イライラしながらスタンプを探した。
体全体にビートがきいたやけに陽気なイライラで、見ているこっちは可笑しくなってしまった。
けれど、おじさんにしてみれば、スタンプが見つからないのは入国審査官のせいなんかじゃなく、
うさぎたちのせいらしかった。出国者たるべきもの、
あらかじめ入国スタンプが押されているページに出国カードを挟んでおくべきだったのだ。
かつての日本の出国審査で出国カードの断片をホチキスでパスポートに留める理由、
それは出国時のビザスタンプをすぐに見つけるためだったのか、と、
出国カードがなくなった今になって初めて気付いたりして。
「これからはパスポートにしおりヒモをつける」という案はどうかな〜?
出国審査を抜けたところは小広い待合いロビーとなっていた。
出国ゲートをはさんだ両脇にキオスクレベルの小さな売店が一つづつあり、
更にその左右にはうどん屋さんとこの空港唯一のDFSがあった。
場所の利の違いからか、DFSの隣にある右の売店には人だかりができ、
うどん屋の隣りにある左の売店は閑古鳥が鳴いている。
うさぎはまず、人だかりのしている右の売店へ。
ここはおみやげ品がところ狭しと飾ってあって、楽しげでよかったが、店のお姉さんがしつこくていけない。
あれはどうだ、これはどうだと勧めてくる。
あわててソファに逃げ帰り、今度は閑散とした左の店へ。こちらは商品がかっさりなら、店番のおじさんはあっさり。
それはよかったが、絵はがきを3まいばかりレジに出してビックリ! なんと一枚50ペソ(約150円)だというではないか!
古臭い印刷技術の絵はがきにして、これは高い、高すぎる!
道理で埃をかぶっていると思ったよ。
残りの小銭を使ってしまおうと思ったのだけど、お金が足りず、予算オーバーで買えないと、首を横に振って店を後にした。
7時ちょうどにゲート待合室オープン。時間にルーズな国民性って、一体どこの国のこと?
ゲート前の待合室入り口で、もう一度セキュリティチェック。
テロ対策が厳重なのは歓迎するけれど、「共同責任無責任」という言葉もあるし、二度目があるということは、
一度目のセキュリティチェックが万全ではない証拠のような気もして、なんとなくフクザツ。
2番ゲートはこの空港の右端にあって、大きな窓から真っ黒な軍用機が見えた。 そういえばマニックスが「エアフォース(空軍)がいるからセブは安全」と言ってたっけ。 空港に軍用機がいるなんて、日本人の感覚だと物騒な感じがするけれど。 軍用機をよく見ようと窓ガラスにひっつくと、ほんわか暖かかった。 エアコンの効いた空港内は日本のように涼しく、 冬服に着替えてしまったうさぎはもう日本に帰ってきてしまったようでつまらなかったのだけど、窓ガラスの暖かさに、 「外はまだ常夏のフィリピンだー」と実感して嬉しくなった。