シンガポールの鉄道は街中では地下を走っており、MRTと呼ばれている。 せっかくの機会なので、 ラッフルズからANAホテルに帰るのにMRTを利用してみることにした。
ラッフルズ近くの交差点で地図を広げて、広い広い1ブロックを歩き、シティホール駅へ。 地上にあいた入り口から地下に降りると、そこにはいかにも駅らしい雰囲気があった。 殺風景な壁や天井、セカセカした足取りの人々‥。
定期を持っている人が多く、キップを買う人は少ない。
駅の広さの割に、切符の自動販売機が少ないのは、オフィス街だからだろうか。
券売機にお金を入れると、
クレジットカードみたいなハードプラスティック製のカードが出てきた。
これが切符?! 皆のカードを比べてみると、表面に描かれた絵にも何種類かあるみたい。
たぶんこれは広告だ。
改札は自動改札で、日本同様そこをカードを差し込んだ。
出てきたカードを受け取りながら、うさぎは皆に尋ねた。
「ねえみんな、このカード、下車駅を出るときはどうなると思う?
回収して再利用すると思う人! 手元に残ると思う人〜!」
「手元に残る」ときりんが言った。
「そう? じゃあわたしは再利用する方に賭けるわ」とうさぎ。
ホームへと下るエスカレータは長かった。
日本でも新しい路線ほど、地下に潜るエスカレータは長くなっているから、
その長さは珍しくもないけれど、その速度にはちょっと驚いた。
日本のエスカレータより、かなり速いのだ。
登りはいいけれど、下りはちょっと怖い。
なんだかセカセカした国だなあと可笑しくなった。
尤も、日本のエスカレータのスピードにいつもイライラしているうさぎも
同じくらいセカセカしてるんだなと思ったら、また可笑しくなった。
電車は日本でも南北線など新しい地下鉄には導入されているモノレール型。 駅のホームに掲げられた駅名は、 アルファベットと漢字とタミル文字の三種類で書かれていた。 周りにいるのは日本人のような顔をした人々。 駅も日本と変わらないのに、どこか日本と違う。 クレジットカードのような切符を手でもてあそびながら、 まるでパラレルワールドに迷い込んだみたいだとうさぎは思った。
二駅乗って、オーチャード駅に到着。
さて、切符はどうなったでしょうか。
改札を出るとき、興味深々に見守っていたら、
自動改札機に吸い込まれたまま、出てこなかった。
うさぎの当たり! 「回収して再利用する」が正解でした。