Thailand  プーケット島ラグナエリア

<<<   >>>

【 ジェームズボンド島 】

ジェームズボンド島

さて、マングローブの林を抜け、岩の洞窟をくぐり抜け、舟は大海原に出た。
この辺はあちこちに奇妙な形の島だか岩だかが点々としている。本当に不思議な風景だ。
一面の大海原かと思いきや、水面にうっすらと茶色く見えるところがある。 深緑色でいかにも深そうな感じを受けるが、案外ここも浅いのかもしれない。 それとも、深い海の部分と、海抜ゼロメートルの陸棚地帯があるのだろうか。

舟はしばらく大海原をひた走り、通称"James Bond Island"(以下J.B.島と略す) に上陸した。
J.B.島は、「007黄金銃をもつ男」のロケに使われた奇妙な形の岩の近くにある島で、 その見学はパンガー湾観光の目玉だ。 この辺の島や岩はどれも奇天烈な姿をしているが、この岩はその中でも特に個性的。 根元が波に洗われて削られた、キノコのように頭でっかちな縦長の姿なのだ。 その岩とJ.B.島とは海に隔てられてはいるが、その距離はほんの数十メートル。 足が濡らすのを厭わなければ、浅瀬を歩いて岩を触ってこられそうだ。

だが、ここで面白いのはその岩だけではなかった。J.B.島自体、かなり奇妙な島なのだった。 この島に降り立っていること自体、なんだか現実みがなくて、おもしろい。
島の両脇には切り立った岩がそびえ立ち、その間にネコの額ほどの砂地があって、 そこにみやげ物屋のバラックがずらりと並んでいる。潮が満ちてきたら跡形もなくなりそうな砂地に、だ。
岩にはタテに亀裂が入っており、中が洞窟になっているようだ。 岩の付近は西洋人観光客で賑わっていて、うさぎも興味をひかれた。
だが、パンガー湾の本を買おうと店に近づいたら最後、うさぎは店屋のオバチャンたちに取り囲まれてしまい、 きりんに救出される始末。 結局目的の本は買えず、時間をロスしただけで、自由時間は終わってしまった。

J.B.島の観光を終え、砂浜に乗り上げた舟の先端から、帆布の屋根との隙間を這うように舟に乗り込んだ。 その不便さも、探検気分を盛り上げてくれる小道具の一つなのだ。

<<<   ――   2-7   ――   >>>
TOP    HOME