ホテルに着いたのは、まだ3時過ぎだったので、アラマンダのプールで泳ぐことにした。
プールは水がぬるんで、まるでお風呂みたいだった。 四角いメインプールと丸い小さな浅いプールがここにはあり、 ダイビングレッスンに使われるメインプールの一角はずいぶんと深かった。 プールサイドでインストラクターの説明を受けていた人たちがその水中深く潜ってしまうと、 気配までがぷっつりと跡形もなく消えてしまった。
他人の気配のしないプールサイドはまるでわが家の庭のよう。
ネネとチャアの声、そして水音だけが広々とした空間に響いている。
群青色のタイル張りの瀟洒なプール、赤いインターロッキングのプールサイド。
その周りの芝は青々と茂り、ラグーンを見渡す広い空間のそここちらに花の咲き乱れ、いい香りが漂っている。
こんな空間を占有していると、
こんなパラダイスって、本当にあるものなのかなあ
と信じられなくなってくる。もしかしたら、夢なんじゃあないかしら。 もし今この時間が本物ならば、いつもの生活の方が間違っているのだ。