ラグナエリアの5ホテルは広大なラグーンを囲んで、バンヤンツリー、アラマンダ、シェラトン、デュシット、 ラグナビーチクラブの順に建っている。 そしてベニスに似て、このラグナエリアでは船着場が各ホテルのもう一つの玄関である。 船着場には30分に一回、シャトルボートがやって来る。 ドラム缶の上に組んだいかだに屋根と柵を付けただけの簡素なボートだ。
子供たちをキッズクラブに預けると、うさぎたちは、まだ見ていない唯一のホテル、デュシットへと向かった。
船着場でシャトルボートを待っていると、来たのはデュシット方面とは逆方向の、
バンヤンツリー行きのボートだった。
せっかちなうさぎは手っ取りばやく陸路で行くことを提案したが、
「陸路は風情がない」ときりんはシャトルボートで行くことにこだわった。
そんなわけで、うさぎたちはわざわざ逆方向行きのシャトルボートに乗り、
バンヤンツリー経由でデュシットへと向かったのだった。
それは30分ほどの船旅だった。美しい景色を見ながらの移動は時間を感じさせないが、各ホテルと、
船頭がショッピングと呼ぶところのカナルビレッジの船着場を経由しながら行くと、
それくらいの時間がかかるのだった。
端っこのバンヤンツリーとラグナビーチクラブでそれぞれ5分の停泊をすると、
一周は約一時間の船旅となる勘定である。
シャトルボートは、便利な交通手段というよりは、乗っている時間自体を楽しむ乗り物なのであった。
また、その船賃はタダ。実利以上に、このラグナエリアを自分の庭のように自由に動き回れる感じが嬉しい。
ボートがシェラトンの船着場に着くと、西洋人の団体さんが十数人ほど、どやどやと乗り込んできた。
皆、手に「ラグナプーケット」と書かれた大判のパンフレットと、
花を紡いだ数珠のようなブレスレットを持っている。
デュシットの船着場にボートが着くと、団体さんたちはまたどやどやと降り、
ガイドを先頭にラグーン沿いをぞろぞろ歩き始めた。「ラグナエリア周遊ツアー」なんてのがあるんだろうか。
ちなみに、団体さんたちが持っていたパンフレットがうさぎはどうしても欲しくなり、
このあとラグナエリア中を探し歩いた。
だが、様々なホテルのデスクやフロントで尋ねたが、そのようなものはないという。
諦めかけた頃、ラグナビーチクラブのツアーデスクに、花を紡いだブレスレットが置いてあるのに気がついた。
「ここだ!!」と閃き、ドキドキしながらお姉さんに声を掛け、無事、一部頂くことができた。
これにはラグナエリアの美しい写真が満載で、今でもうさぎの宝物となっている。