デュシットのロビーをすこし右手に入ると、売店があった。 ‥が、ドアが開かない。 はて、 開いている時間のはずなのにと思ってドアの前に立っていたら、 インド人ぽい美人のお姉さんがぱたぱたと走ってきた。どうやらどこかで油を売っていたらしい。
売店の狭くて暗い店内には、みやげ物やお菓子などがぎっしり。うさぎはここで自分用のTシャツを買った。
元気なピンク地に刺繍されたリゾートっぽい絵柄が気に入ったのだ。
だが、あとで部屋に帰ってよく見たら、落ちないシミだらけだった。店内が暗いので分からなかったのだ。
この店では水着も選ぼうとしたのだが、 何しろ水着は半透明の大きなビニール袋にグチャグチャと詰め込んで置いてあり、見る気がしなかった。
この店に限らず、どうもこの国の商品管理には問題があるようだ。 甥っ子たちへのお土産に買ったTシャツスーツの刺しゅうはひん曲がっていたし, きりん用のアラマンダのロゴ入りポロシャツにも小さなキズがあった。
アラマンダのブティックで見たバティックのバッグにはトリのフンみたいなのが付いていて、
「同じデザインで、汚れていないものが欲しい」と言ったら、
「ホラ、これでほとんど分かりませんよ」と、水で洗ってきた。
そーゆー問題じゃあないだろうっっ?!
と内心うさぎは思ったが、素敵なデザインに負けて、結局これも買ってしまった。
タイには「マイペンライ(気にしない、気にしない)」という言葉があり、
この言葉がタイ人の精神を象徴していると何かで読んだが、郷に入って郷に従い、
うさぎもそのマイペンライの精神に染まったのだろうか。
日本で万が一不良品に当たりでもしたら即、返品するうさぎなのに――。