Minnesota  ホストマザーに会いに

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【 サプライズパーティ 】

バースディケーキ

季節はずれの感謝祭に驚かされたその同じ日に、 まさかまだ驚きが待っているとは、一体誰が予想しただろう。 おそらく、当のメアリーですら、予想していなかったに違いない。

それは食事を終えて、そろそろレブロンハウスに帰ろうとしていたときのことだ。 メアリーが、「みんなの誕生日をここに書いて」と紙を出したので、うさぎはそこに4人分の日付を書いた。 それを見たメアリーは、ネネの誕生日が明日だということに気づき、 大きな声で「まあ、ネネ、お誕生日おめでとう!」と言い、「いくつになるの?」と尋ねた。 ネネは「フィフティーン」と答えた。

そのときは、そこで話が終わったかに見えた。 ステラはマムを送りにすでにいなかったし、 シンディもすぐどこかへ出かけていった。 メアリーは、「まあもう少し話でも」と言って帰りかけたうさぎたちを引き止め、 ほんの10分か15分ほど、どうということもない話をした。

メアリーの様子がちょっと気もそぞろに見えるのは、気のせいだろうか。 うさぎがそう思いかけたところにシンディから電話がかかってきて、 メアリーはつと立ち上がり、 「じゃあそろそろ行きましょうか」と言った。 「ちょっとマムのところへ寄っていくことにしましょう」

なぜマムの家に寄っていくのかと内心疑問に思いつつ、マムの部屋に入ると、 うさぎたちはまるでドラマのように、「ハピバースディ! ネネ!」の声に迎えられた。 そこには誕生日の飾りつけがされており、 新しいネネの年の数だけろうそくが並んだデイリークイーンのアイスケーキまでが待ち受けていた。

それは本当に驚きだった。 「ごめんなさいね、もっと早くに明日が誕生日だと知っていたら、飾りつけに凝れたのだけれど」 とシンディは言ったが、こっちにしてみれば、 ごめんねどころか、こんな遅い時間にデコレーションケーキがどこかで買えることも驚きなら、 "happy birthday"という文字の並んだ飾りが天井からぶら下がっているのも驚きだった。

いや、それより何より一番の驚きは、この3人の息の合った連携の見事さだ。 一体いつそういう段取りを決めたのか、今考えてみても全然分からない。 ネネの誕生日の話が出たとき、ステラはすでにいなかったし、 シンディは玄関ドアの側にいて、「ハピバースデイ!」と一言言うと、出かけてしまった。 メアリーは一瞬たりともうさぎたちの目の前からいなくならなかったし、 電話で誰かと誕生パーティを計画している様子もなかった。 いくら英語を聞き取るのが苦手なうさぎたちとはいえ、 目の前でパーティの計画が話されていたらそれと分かる。 まったくテレパシーを使ったとしか思えない。

一つ考えられるのは、 「誕生日」と聞いた途端、メアリーとシンディが同じことを考え、 シンディが携帯でステラに伝えて準備したのではないかということだ。 驚かせるためには目の前で準備するわけにはいかないから、 場所はおのずとマムの家でなくてはならず、 そうなるとおのずと役割分担も決まってくる。 マムの家に一番先に到着したステラが飾りつけ、 シンディがケーキを買いに行き、 メアリーがうさぎたちを引きとめる。 ――そういう段取りが、言葉を交わさずとも、お互いの頭に閃いたのだろう。

誕生日の歌を皆で歌い終わると、灯りが消された。 真っ暗になった部屋にろうそくの火だけがともり、 ネネがそれを一気に吹き消した。 15歳の誕生日にまことに相応しいロマンチックでドラマチックなバースディに、 ネネは頬を染めて終始ニコニコ微笑んでいた。

10年後、ネネは、そしてチャアは、どんな娘に育っているだろう。 うさぎたちは一体、どんな親子になっているだろう。

ステラやシンディのような娘に育っているといいな、
メアリーたちのような信頼感が築けているといいな――

うさぎは心からそう願った。

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