次の日はドライブに出かけようということになり、 両親が有名なコーヒーをお土産に買いたいと言うので、一路カイルア・コナを目指しました。
カイルア・コナからサウスポイントに向かう11号線は コナ・コーヒーベルトと言われるほどコーヒー農園があるそうです。 "あるそうです"、というのはガイドブックにはそう書いてあるのですが、 実際に走ってみるとどれがコーヒー園なのかわからないようなものばかりなのです。 前回「ここかな?」とわかるお店がやっと数軒あったので、 また同じそのお店に立ち寄ることになりました。 ロイヤルコナコーヒー工場&博物館です。 ここで買ったコーヒーはコーヒー好きな友人たちにはとても好評でした。 生憎私は飲まないので、わかりませんが。(インスタントばっかりなもので‥;)
コナ・コーヒーの歴史はなかなか古く、 1825年カメハメハ王2世がロンドン歴訪中にはしかで亡くなってしまい、 その遺体をブラジル経由で運ぶ際に当時のボギ総督がコーヒーの木をブラジルからハワイに持ち帰ったのが コナ・コーヒーの始まりと言われています。
きれいな海も変わっていませんでした。 コナのメインストリート、Alii Driveをゆっくり走って行くと ひときわにぎわっているカハルウ・ビーチパークに着きます。 ここで少し遊んでみました。 7年前もここに来ましたが、今回のほうが驚くほど人がたくさんいました。 たいていは子ども連れのファミリーのようです。 以前はここで真近にグリーンタートルが何匹も泳いでいるのが見えたのに、今回はいませんでした。 観光地化がすすんで、カメも居づらくなったのでしょうか。
そばのケアウホウ・ショッピングセンターでランチを取った後、山道を道なりに下ってしばらく行くと 『プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園Puuhonua O Honaunau National Historical Park』があります。 何度も声に出して言ってみるんですが、なかなかこの名前、覚えられません;
入り口ゲートで入場料を払い、日本語と英語で書かれた案内をもらって散策を始めました。 あまり人がおらず、とても静かです。 あちこちに「グリーンタートルがいても触らないで」の看板が立っています。 見たこともない小さな真っ赤な鳥たちが低木にとまっています。
海の方向を目指して少し歩くと
「うわ〜っ!」と子どもたちが歓声を。
灰色がかった砂浜、寄せる波の音、だーれもいない小さな海岸が見えてきました。
「やっほーぅ!」
みんないっせいにズボンをまくり上げて波の中に入っていきます。
この小さな入り江は王族のカヌーが発着する場所だったそうです。
「カメだ。」と義父が何匹ものグリーンタートルを波間に発見。
2匹、3匹、いえ、もっといます!
大きさは50センチぐらい。
住みづらくなったビーチパークからこの聖域に引っ越してきたのでしょう。
残念ながらカメに近づくことは法律で禁止されているので、離れて見るだけです。
ここは私たちだけしか知らないまるでプライベートビーチのような気分です。
歴史公園
ここホナウナウ公園は16世紀ごろから約300年の間、 ハワイ原住民たちの聖域『Place of Refuge』でした。 部族戦争で負けた戦士や、罪を犯した罪人、 きびしいタブーを破ってしまった人々にとっての駆け込み寺的存在の場所なのでした。 追跡者を逃れてこの聖域に逃げ込み、 ここの祈祷師のもとで礼拝を行う日々を過ごせば罪が消えるとされていたのです。
カメハメハ王朝時代、そのタブーはたいへんきびしいものだったそうです。 そしてタブーを破ると災いが起きると信じられていたのですが、 1819年カメハメハ王2世はそんな意味のないタブーをわざとみんなの前で破って見せたのです。 男女で一緒に食事をしたのです。 が、やはりなんの災いも起きませんでした。 こうして王は古い神々の信仰を捨て、神殿や偶像、聖域を壊すように命じたのです。
今は国立歴史公園として保存されているこのホナウナウ公園には、 聖域を守っていた石垣の一部が残っています。 再建されたティキと呼ばれる神像が並ぶ後ろにはヘイアウ(神殿)が小さいながらも立っているのですが 残念ながら修復中で、中の様子はまったく見ることができませんでした。 ここは人に知られずひっそりと祈りの日々を送るには最適な、 静かで神秘的な雰囲気が取り巻いています。 海からの風も強すぎず弱すぎず、太陽の日も照りつけるではなく、 暖かく包み込むような不思議なやさしさを感じる場所です。
デモンストレーション
ある一部の学者はここがセドナのヴォルテックスと同様に"地球の力が地上に現れる場所"と 定義しています。 偶然とはいえ、セドナに続いてまた聖域を訪ねることができたことに驚くと同時にうれしくなりました。 こんなに静粛ですてきな場所だとは思ってもいなかったので、 思わぬ収穫を得て心が豊かになったような、得した気分でホテルへの帰路につくことができました。 ここは誰にも教えたくないような"穴場中の穴場"です‥!
◆◆◆
ワイコロアでのディナーはキングスビレッジやホテル内レストランで和食を中心に楽しんでいましたが、 最後の夜は敷地内の岬にたつ『カムエラ・プロビジョン』でステーキを頂きました。 おとなでもキッズメニューをオーダーできます。 もちろん外の席に座ることをおすすめします。 ここはサンセットが美しく、沈み行く夕陽を見ながら、 そして今回はラッキーなことに沖を行くクジラを見ながらのディナーとなりました。 潮を吹くたびにまわりのお客さんたちも歓声をあげます。
ウエイトレスのBさんが 「日が沈むちょうどその時、ラッキーならグリーンフラッシュを見ることができるかも」と教えてくれました。 一瞬あたりの海がみどりいろに光る現象だそうです。
「あっ、見えた、みどりに見えたよ!」
主人はちゃんとわかったらしいけれど、私はステーキに夢中で見逃しちゃった;
Bさんに「毎日こんなステキなところで働けてしあわせね。」と声をかけると
「はい。でもこの景色、毎日見ていても飽きないんですよ〜。」とうれしそうに話してくれました。
「おかげでさ、すっかり元気になったような気分よ〜。」
旅行から帰って来てからもしばらく義母はそう言っては明るく笑っていました。
いちばん印象深いのがセドナのホーリークロス教会だそうで、
「感動して涙が出ちゃったよ。」
「あんなに気持ちがいい場所に行ったことは今までになかったねぇ。」とさえも。
うん、そうそう! 聖域・聖地と呼ばれる場所には、人を元気にしてくれる大きな力が宿っているにちがいない、 そして古代から人間はそのことをちゃんと知っていたに違いない。 それが『聖域』たるゆえんなのでしょう。
子どもたちが今回の旅をどう解釈しているのかはまったくわかりません。 あえて聞くこともしていません。 でもいつかこの旅のことを思い出して、 心が少しでもあたたかくなってくれればそれだけで充分だとも思います。 これからの課題は地球上にあるたいせつな聖地・聖域をちゃんと守っていけるかどうか‥。 大事にしていこうね、と呼びかけることしかできませんが、 そんな輪が少しでも広がっていくことを願ってやみません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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(by Coco)