レースカーテン――ウェーブロン
透けそうで透けないレースカーテンは、人の目を強力に遮ってくれる頼もしい存在です。 無数の窓に囲まれた街中に住んでいる今、そのありがたさを日々感じています。 この薄手のカーテン一つで、どんなに守られた気分でいられるか知れません。
とはいえ、カーテンによって性能は千差万別。 人の目を遮る効果はほとんどないレースカーテンもありますし、 昼間、外が明るいときはよくても、夜には効果がないものもあります。
光は通すのに、人の目は通さない。 一見矛盾する二つの特徴を兼ね備えたレースカーテンをさんざ探し回って ようやくわたしが見つけたのは、帝人の ウェーブロン というハイテク繊維を使って織られたもの。 光をよく通すにも係わらず、夜も昼も、人の目を遮る効果に優れた製品です。 また、熱を遮る効果もあるのか、西日対策にもなっています。
一見、どこといって変わったところのない普通のボイル地です。 控えめな光沢、継ぎ目のない一枚布はドレープが美しく、薄く軽く柔らかで、 様々なハイテク性能が秘められているようには見えません。
けれど天気の良い真夏の夕方、SF的な光景に出くわし、ハッとします。 ウェーブロンの内部で光線が乱反射して絡み合い、面となって拡散する。 強烈な西日を細い繊維の中にたっぷりと含み、 みずから発光しているかのごとく真っ白に光っているウェーブロンを見ると、 「やはりこいつはタダモノじゃない」と思いなおすのです。
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初稿:2007年7月19日