WAVERON®のレースカーテン。
上の写真は、何に関しても とかく見た目から入りがちなわたしが、珍しく機能第一に選んだお気に入りのレースカーテンです。 リビングからダイニングを通ってキッチンまで、3つの窓に合計9メートルに渡ってとりつけてあります。
街中に引っ越すことになったとき、とにかく不安だったのが、プライバシーの問題でした。 新しい我が家を取り巻く、近隣の建物の窓、窓、窓。 一体どこから人の視線が入ってくるか分からない恐怖におびえました。
それまでの家は深い木立に囲まれておりましたので、 プライバシーの問題なんて全く気にしたことがありませんでした。 カーテンはいつも開けっ放し。 お風呂から上がってきたすっぽんぽんで家の中をうろつきまわっても全然オッケー♪ そういう暮らしぶりでしたからなおのこと、街中の暮らしを想像しただけで不安がつのりました。
尤も、プライバシーを守るだけなら、簡単なのです。 分厚いカーテンを締めっきりにすればいい。 窓が窓でなくなれば、不特定な人の目が家の中に入ってくることもありません。
でもねー、あいにくその辺、わたしは贅沢にできているのです。 人の目に入ってきてほしくない。でも、お日様の光には入ってきてほしい。 光は遮らず、人の目は遮るカーテンが欲しかったのです。
でもそう言うと、みな口をそろえて言うのですよね。 「そんな都合のいいカーテンあるかいな」
ところがあったのですねえ。 厳密に言うと、1%も光を遮らないわけではないし、100%人の目をシャットアウトするわけではありませんが、 必要なだけの光は取り入れ、充分に人の目を遮るカーテンが見つかりました。
とはいえ、その道のりは決して平坦ではありませんでした。 探すのに本当に苦労しました。 しかも、これだけは絶対に失敗できないと思っていました。 日当たりとプライバシーは、どちらもわたしにとってものすごく大切だから。 だから探すのに必死になり、決めるときには「本当にこれでいいのか」と何度も考えました。 この決断は本当に怖かったです。
だからこそ、実際カーテンが仕上がってみて「これで正解だった」と分かったときの安堵感といったら ありませんでした。 自分がすごく苦労したから、同じ悩みをお持ちの方のお役に少しでも立ちたい一心で、 今このレビューを書いています。
とはいえ、ウーン、一体何からどう説明すればいいのかなぁ? よく分からないので、とりあえず、探し始めたところから時を追ってお話しますね。
プライバシーを守りたい一心でレースカーテンを探し始めた当初、 まず頭に浮かんだキーワードは「透けない」でした。 とはいえ、これ、矛盾してますよねえ。 だって、厚手のドレープカーテンに対し、透けるのがレースカーテンの特徴ですからね(笑)。
ここで簡単にカーテンの分類をお話しておきますと、 まず、カーテンにはざっくり言って二つの種類があります。 ドレープカーテンとシアーカーテン(シーアカーテン)です。 ドレープカーテンは透けないカーテン、シアーカーテンは透け感を楽しむカーテンです。 シーア(sheer)という英単語にはもともと「透き通るような、 (織物が)薄地の」という意味があります。 つまりシーアカーテンとはそのものずばり、透けるカーテンのことなのです。 たいてい窓には2本のカーテンレールがついていますが、 室内側から窓を見たとき、通常、手前側のレールにかけられるのがドレープカーテンで、 奥のレールにかけるのがシアーカーテンです。
更に、シアーカーテンはボイルカーテンとレースカーテンに分けられます。 透け感のあるカーテンのうち、織物で作られたものをボイルカーテン、 編んだものをレースカーテンと呼びます。
とはいえ、ボイルカーテンが一般的になってきたのは、まだここ10年くらいのこと。 それまでは、透け感のあるカーテンといえば、イコール、編んだもの(レースカーテン)のことでした。 だから今でも、ボイルカーテンを含む透け感のあるカーテン全般をさしてレースカーテンと 呼ぶほうが普通で、シーアカーテンという言葉はカーテン屋さんでさえあまり使わないようです。 なのでここでも「シーアカーテン」の意味で 「レースカーテン」ということにしますね。
- ドレープカーテン ――――――――――― 透けないカーテンの総称
- シーアカーテン (広義のレースカーテン) ―― 透けるカーテンの総称
- ボイルカーテン ―――――――――――― 織ってあるもの
- レースカーテン (狭義のレースカーテン) ―― 編んであるもの
左から、ドレープカーテン、ボイルカーテン、レースカーテン。
余談が長くなりましたが、わたしが探していたのは陽の光を通すレースカーテンでしたから、 「透けない」というのは大きな矛盾でした。 でも「人の目を遮る」という意味で端的な言葉をそれしか思いつかなかった。 だから一生懸命このキーワードで検索をかけました。
その甲斐あって、次のキーワードが見つかりました。 「ミラーカーテン」という言葉です。 ミラーカーテンというのは、生地の裏側を鏡面のようにピカピカに加工することによって、 光を反射するように作られたカーテンのことのようでした。 光を反射するから、部屋の中が見えにくいのだそうです。
早速これを試してみることにしました。 マンションの内覧会のとき現場に出張してきていたカーテン屋に頼み、 ミラーカーテンを含むレースカーテンを何点か貸してもらって部屋にかけ、 部屋の中がどの程度見えるか、近隣のビルから眺めてみました。
ところが結果は、普通のレースカーテンと変わりませんでした。 ‥って書くと誤解を招くかな。 ミラーカーテンの効果がない、って言ってるんじゃないんです。 逆に、普通のレースでも案外、外から見た部屋の様子は分からないゾということです。 サッシがけっこう反射するんですね。 サッシに光が反射して景色が映りこむので、カーテンを全くかけていない状態ですら、 暗い部屋の中はほとんど見えないんです。
ところがねえ、夜になると、状況は一変しました。 夜、部屋に灯りをつけて外から覗くと、部屋の中の様子がバッチリ分かってしまうのです。 曇りの日でさえ、昼間は外のほうが室内より明るく、外から中は見えづらい。 でも、夜間は室内のほうが外より明るく、外から中がはっきり見えるんですね。 ま、夜は外光を取り入れる必要がないので、ドレープカーテンを閉めりゃいいっちゃいいのですが、 できれば閉めたくない。 カーテンを閉めない暮らしに慣れきってしまったので、閉めると窮屈な気がするのです。
それでここからは検索キーワードを変えました。 「夜 透けない」に(笑)。 普通のミラーカーテンはもういい、と思いました。 だってわたしが借りたミラーカーテンは、昼間には効果があるけれど、夜は効果がないんですもの。 それにミラーカーテンというのはけっこう分厚くて、 裏側がテカテカしているのが多いんです。 わたしは、ふわ〜っと風でそよぐ感じのカーテンが欲しかったので、ミラーカーテンという呼び名にこだわらず、 薄くてナチュラルな感じにこだわって夜も透けないものを探すことにしました。
でも「夜にも透けないレースカーテン」というと、 これはますます難しい問題になってきたわけで、 薄くてナチュラルな風合いにこだわってる場合かっ?!という感がなきにしもあらず??
しかし、信ずるものは救われる。 ‥っていうか、求めよ、さらば与えられん、かな。 調べていくうちに「ウェーブロン」というキーワードに行き当たりました。 このウェーブロンというのは、 帝人ファイバーが開発した ハイテク繊維素材。何でも、扁平にすることによって、薄くて密な織物を作れるようにした繊維なのですって。 この糸を使った生地は目がつまっているから、透けにくい。でも薄いので軽快。 ただ問題は、陽の光をどの程度通すか、でした。
わたしは狂ったように「ウェーブロン カーテン」というキーワードで検索をかけまくり、 光の通過具合を示す記述を探しました。 でもねえ、たいてい「光はある程度通します」と書いてあるんですよね‥。 こういうのを読むといつも、「ある程度ってどの程度じゃい?!」とつっこみたくなりました。 ついでに言うと、「夜も透けにくい」っていうバクゼンとした表現もやめてほしい。 「どの程度透けにくいのか、頼むから教えてよ〜〜!」という感じでした。
それでも中には、透けにくさの実例というか、他のカーテンとの比較写真を載せているページもあり、 有難かったことは有難かったのですが。 でも、これはやはり自分の目で見るしかないと思い、カーテン屋めぐりを開始しました。 確実に20軒以上は回ったでしょうか。 カーテンを売っている店って、けっこうあるんですね。 カーテン専門店のほかにも、家具屋、インテリアショップ、デパート、スーパーなどなど。 ただ、一店に置いてあるサンプルは少なく、100から、多くても1000〜2000くらいというところでしょうか。
1000〜2000という数を聞くと、選び放題、よりどりみどり!に思えますが、 実際にはそうでもないんですね。 日本で出回っている膨大な数のカーテンのうちのほんの一握りで、 主力メーカーのカーテンのサンプル(サンプル帳のように小さいものではなく)がほとんど置いてある、 なんていう店は、たぶん、日本中探してもないと思う。 カーテンは足で探すしかないと実感しました。
足を棒にして探すうち、ウェーブロン繊維を使ったカーテンは、様々なカーテンメーカーから 出ていることが分かりました。 ただ、一口にウェーブロンといっても、織り方によるのか、透け方はけっこう違う。 一見同じ生地かと思いきや、透かしてみたら透け感が違ったこともありました。 ウェーブロンだから安心、というものでもなく、これは奥が深いなあ、と思いました。
でも幸いなことに、「これは」と思えるウェーブロン素材のものを一つ見つけました。 とても薄くて繊細で、どことなくとろんとした風合いがあり、 見た目は全くハイテクには見えないシンプルでなにげない生地なのに、 そのサンプルごしに向こうを透かしてみると、驚くほどぼやけるのです。 向こうが全く見えないわけではなく、なんていうか、見えるんだけど、ぼやけて見えるというか、 輪郭があいまいになる感じ? これはいい、と一目で気に入り、早速その品番のサンプルをメーカーに頼んで送ってもらいました。
その後は送られてきたサンプルを手に、更なるカーテン屋めぐり。 それより優れている生地があるかどうか、比べてチェックするためです。 でも、「光は(ある程度)通すのに人の目は(あまり)通さない」という観点において、 これ以上に優れた生地はないと分かりました。
では実際に、どんな感じか、写真でご覧いただきましょう。
上の3枚は、我が家の3つの窓から外を眺めたところです。 3つの窓にはそれぞれ別のレースカーテン(ボイル)がかかっていて、 3つの窓とも同じ側に面しているので景色はだいたい同じです。
この3枚のうち、どれがウェーブロンかわかりますか? ――そう、一番右側です。 他の2枚と違い、ウェーブロンは、 遠くの森と空の境は判別できるけど、遠くの森と近くの建物の境は判別できず、 窓のすぐ近くにある木の枝も景色にとけこんで判別できなくなっているのがお分かりかと思います。
でもって、光の通し具合はこんな感じ^^。 光の何パーセントが通過するかとか、数値的なことは分かりませんが、 まあ少なくとも暗く感じることはなく、わたしにはこの明るさで充分です。
そして下が夜、外から家の中を見たところです。 10数メートルくらい離れた場所から望遠で狙いました(人から見たら相当怪しいヤツだったかも^^;)。 左は普通のボイルカーテン、右がウェーブロンです。 窓から50センチくらい離れたところに夫が立っています。
カーテンを閉めないと、完璧丸見え^^;→
普通のボイルカーテンのほうは、白っぽくなってはいるものの、色や輪郭がくっきりしている部分もありますが、 ウェーブロンのほうは、灯りを背にしているにも係わらず、 シルエットがぼやけてほとんど分からなくなっています。 影が動くと、「あ、何か動いたな」という感じはあるのですが、 それが何かはほとんど判別がつきません。
ああもう、引越し直後、外からこの見え方を確認したときには、本当にこれを選んでよかったと思いました。 いつもは機能より見た目重視なわたし、実はトルコ製のボイルで一つすごく素敵なのがあって、 プライバシー云々には目を瞑り、そっちを選ぼうかという誘惑に駆られもしたのですが、 ここは機能で選んでおいて本当〜によかった。 軽くて薄くて柔らかいこのカーテン一つでプライバシーがガッチリ守られている安心感があります。 このレースが閉まってさえいれば、家の中で何してたってヘーキさっ!(笑)
また、全く計算外なのですが、もう一つ、このカーテンには思いがけない効用がありました。 強烈な西日対策です。 新しい我が家は西に面している辺が長く、真夏の西日を恐れていたのですが、 このカーテンのおかげでずいぶん西日の強烈さが緩和されました。 最初はカーテンにそんな効用があるとは露知らず、それほど強烈な西日を感じないのは冷夏のせいかな、 なんて思っていたのですが、ある日カーテンを開けてビックリ! まぶしいわ、熱いわ、まるで刺すような日差しでした。 あ、これが世に言う西日の強烈さかぁ、と、カーテンを開けて初めて気づいたのです。
‥というわけで、 ドレープカーテンは見た目で選び、レースカーテンは機能で選ぶというのが、 わたしの持論であります。 日本製のカーテンは機能性に偏っていて風合いがいまいち(というか、いまひゃく)、 調度品というよりはまるで電化製品のようだと毛嫌いしていたのですが、 このカーテンに関しては、機能性万歳!と叫びたい気分です。
‥といいつつ、憧れのトルコ製ボイルに似せて、カーテンの裾に幅広いマクラメをつけてしまったりなんかして^^;。 カーテン自体はそれほど高価ではないだけに、裾レースをつけただけで価格が一気に倍になりました(汗)。
ちなみに、わたしが選んだのは、 リリカラのFD57689 という商品です。 ただ、この品番って、割とあてになりません。 掲載カタログによって同じ商品でも違ってくるし、 更に同じカタログでも、毎年更新されるたびに変わっちゃうし、 生地を横に使うか縦に使うかでまた違うし‥。 わたしがオーダーしたのはちょうどカタログの切り替え時期だったこともあり、 覚えていた品番と実際オーダーした品番が違い、不安でした。 「ウェーブロン」という繊維の名前と、 「リリカラ」というメーカー名、それにメーカーのカタログに使われている使用例の写真(左の画像)が同じことを、 何度もしつこく確認したのを覚えています。
これに決めたときには、本当に不安でした。 「とにかくこれだけは絶対入居日までにつけないと生活できない!」と焦って入居前に注文したので、 機能面のみならず、見た目や風合いに関しても、本当にこれでよかったのかな、と何度も思いました。 でも実際に窓にかけてみたら、継ぎ目がないことや、とろんとした素材感がとても素敵でした。 普通のカーテンだと、大きな窓の場合どうしても縦に継ぎ目が出てしまうのですが、 このカーテンは300ミリ幅の生地をタテに使うため、継ぎ目が出ないのです。 だからドレープがとてもきれい♪ 探すのは本当に大変でしたが、苦労が報われました。
さあ、これからはドレープカーテンを探すぞ〜〜! (←入居後二ヶ月半経ってもまだドレープカーテンがついていない^^;)
初稿:2006年10月14日