紅茶もところ変われば
「最初のひと匙はあなたのため、次のひと匙はわたしのため、そして最後のひと匙はポットのために」 と歌いながら紅茶をいれたのは若かりし頃。 その自称『本格英国式ダージリン』はどす黒く、とてつもなく苦いしろものでした。
一方、よくある黄色いティーバックで妹がよく作ってくれたレモンティーはライトで爽やか。 わたしが英国直輸入の高級茶葉でいれたこだわり紅茶の100倍も美味でした。
実はイギリスと日本では水が違うのだと知ったのは、つい最近のこと。 イギリスの水は硬度が高く、日本は軟水。 硬水はミネラル分が多く、茶の成分が出にくいのだそうです。
なるほど。 そういえば英国式のやり方は、お茶をしっかり出す工夫に終始しています。 クセの強い茶葉をたっぷり使い、高温でじっくりと蒸らす。 それをそのまま日本の軟水に適用すると、濃すぎてしまうのですね。
所変われば品変わる。水も味も正しさも。 他国の伝統をただ真似るだけでは、一杯の紅茶ですら美味しくいれられない。 妹の紅茶が美味しかったのは、 日本仕様に調整された茶葉を使い、自分の舌で味を確かめながら細かな工夫を重ねていたからでしょう。
妹に遅れること20年、わたしも自分なりの紅茶探しを最近始めたところです。 写真は『ディンブラ』というセイロン茶葉でいれたアイスティー。 クセのないのどごしと美しい色が、目下のお気に入りです。
初稿:2007年8月9日