コレクション考
小学生の頃、ハイクラウンというチョコレートについてくるきれいなカードを集めていたことがあります。 子どもには少々高価でしたので、数年で７、８枚集めるのがやっと。宝物でした。 いつか大金持ちになって、好きなだけ買いたいと夢見たものです。
ところがある日、そのカードが道端に落ちているのに出くわしました。 その数10枚以上。 大喜びで拾ったものの、 一挙に３倍に増えたカードを前にしたらなんだか急に馬鹿馬鹿しくなり、蒐集熱が冷めました。
コレクションの楽しさは、所有すること以上に、手に入れる過程にあります。 もしかしたら、一番楽しいのは「次はこれが欲しい」と目論んでいるときかも。 たくさん揃う日を夢見る一方で、実は、なかなか揃わないもどかしさを楽しんでいるのかもしれません。
今わたしが蒐集しているのは外国のおみやげスプーンで、 海外旅行に行かないと手に入れらないもどかしさが気に入っています。 簡単に揃ってしまうものの場合は、何か条件をつけるのも手ですね。 たとえば「お金を出して買わない」とか。 わたしの場合は、 「もらい物は含めない」という負荷をかけて集めにくくしています。
またスプーンのほかにもう一つ、集めているものがあります。 それは、「自分の書いた文章」。 何かと苦労が多く蒐集しづらいので、コレクションには最適です。
初稿：2007年10月4日