2003年4月6日 高機能アクセス解析

先日、あるサイトからシェアウェアの高機能アクセス解析をダウンロードし、設置しました。 価格は個人サイトの場合1,000円で、 「充分試用し、納得してから料金を支払うように」という旨の記載があったので、 ありがたくそうさせていただくことにしました。 つまり、しばらくは試用期間と考えて試し、 その性能に満足して、ずっと使い続けようという意志が固まったのちに、 代金を支払うことにしたのです。

アクセス解析の配布はネット上にたくさんあり、無料のものも少なくありません。 わたしも、いままで無料のアクセス解析を利用していました。
では、無料で手に入るものになぜお金を支払おうと思ったのか。 その理由は、抜群に高いその性能にあります。

今まで利用していたアクセス解析は、 トップページのみに関して、ホームページを見に来た人(訪問者)の情報 (何時何分に、どこのサイトのリンクから来たか、 どんな検索ワードで検索してきたか、など) を提供してくれましたが、この高機能アクセス解析は、全てのページに関して、 その情報が得られるのです。

つまり、末端ページから入ってきた際の情報も得られるわけで、 今までには思いもよらなかった検索ワードの存在を知りました。

また、もっと大きかったのは、どのような順番でどこのページを見ていったかが 分かることでした。
各ページをアクセスした時刻の順番とその時間差により、どこのページに何分いたかが 分かるのです。

これは画期的でした。訪問者がどのページをどのくらいの時間をかけて見てくれているか、 それはわたしが最も知りたかったことだったのです。
旅行記をウェブ上に2年近く公開してきて、いつも気になっていたのは、 「はたしてどれくらいの人が、読んでくれているか(或いは全く読んでもらえていないか)」 ということでした。 きりんが一生懸命宣伝してくれたおかげで、トップページへのアクセス数は多い。 日に百人以上の人が訪れます。
でも、はたしてその中で、どれくらいの人が旅行記を読んでくれているのだろう、 それがいつも気になっていました。

うさぎの旅行記は長い。 おそらく旅行記としては、日本で公開されているホームページの中で一番長い。 こんな長い旅行記を読んでくれる物好きなんて滅多にいないんじゃないか、 だから書いてもムダなんじゃないか――そういうコンプレックスがずっとありました。

ところが。高機能アクセス解析を入れた途端、それが杞憂であったことが分かりました。
訪問者毎にその足跡を追っていくと、けっこう丁寧に読んでもらえていることが分かったのです。
どんな読み方をしているのか―― 真面目に読んでいるのか、ただページをめくっているだけなのか ――は、ページ毎の時間差でおおよそ見当がつきます。
一ページあたりに1〜2分程度をかけ、30〜40ページの旅行記を一気に読破する人、 どんどんページをめくっていって、気に入ったページだけを丁寧に読む人、 写真ページを約20秒毎にどんどんめくって見ていく人‥。
読み方は様々ですが、少なくとも、どこかしらが気に入ってくれた様子が目に浮かびます。 中には、何時間もかけて3つ4つと読んでくれている人もけっこういて、ありがとう、と 心の中でお礼を言います。 7時間ぶっ続けで、淡々と同じペースで 800あるページの9割近くを巡ってくれた人の足跡を見たときには、 ありがとう以前に、その集中力に感動を覚えました。

そういう読者の存在が分かったこの一週間は、 ウェブサイトを始めてから最も幸せな一週間でした。
どんな褒め言葉や、どんな賞の受賞よりも嬉しかった。
書くことは無駄ではないのだ――それが分かった一週間でした。

アクセス解析の性能に話を戻しましょう。
かけがえのない情報をわたしに教えてくれた高機能アクセス解析に、 わたしは心から感謝しました。 けれど、それには思いがけない難点もありました。
容量を食いすぎるのです。 詳細なデータを膨大に取ってくるため、すぐにログファイルが一杯になってしまいます。 ログファイルの大きさを最大の1MBに設定しても、2日でいっぱいになってしまう。
ログファイルがいっぱいになると、自動的に新しいログファイルを生成して切り替わるので、 曜日ごとのアクセス数とか、リピータ比率など、大局的な統計が全く取れません。
第一、1MBのファイルがこうもどんどん生成されるのでは、あっという間にサーバーの容量を 食いつくしかねません。定期的にログファイルを削除する必要があり、気が抜けません。

‥なので、せっかくの高機能アクセス解析ですが、ずっと使い続けるのは難しそうです。

でも、それならシェアウェア代金はどうしましょう?
試用してみて納得がいかなかったのだから、支払う必要はない?
アクセス解析は、もともと大局的な統計をとるためのものです。 訪問者の傾向を知り、それによってサイトの方向性を探るためにあるのです。 一人一人の訪問者の動きよりも、全体の傾向を知るためにあり、そういう点で このアクセス解析は、うさぎのサイトに関して言えば、目的を果していません。

でも、うさぎはやっぱりシェアウェア代金を払おうと思います。
だって、このアクセス解析は、かけがえのないことを教えてくれたのです。
カウンターが示す1づつの数字にどんな意味が込められているかを。
たとえ一週間しか使えなかったとしても、 その一週間で、何年分もの自信を与えてくれたのです。

全体の傾向を探れないアクセス解析は、アクセス解析としては役に立たないかもしれません。
ずっと使い続けれられないものにお金を支払ううさぎは、 「賢い消費者」落第かもしれません。

だけど、時には、賢いより大事なことがあると思うのです。

5月3日付記:
このアクセス解析、 まだまだアクセス数の少ない"いつものきりんとうさぎ"ではアクセスログがひと月も 持ち、リピーター比率など必要なデータが把握できることが分かったので、 継続して使用することにしました。
すでにシェア代金を支払ったことでもあるし、このデータを有意義に活用したいと思います。

アクセス数やページビューの多いサイトには推奨できませんが、 1日のページビューが100くらいまでのサイトには、オススメです。

futomi's CGI Cafe'