米コーニング社が開発した積層強化ガラス・コレール(R)。
上から順に、中ボウル(直径16cm深さ5cm)、深皿(直径17cm深さ2.5cm)、ランチ皿(直径26cm)。
ノリタケのボーンチャイナを我が家の「ハレ」の食器の筆頭とするならば、 「ケ」(日常)の器の筆頭はコレールであります。
強化ガラスで作られたコレールには他の食器にはないような長所がたくさんあります。 まず、割れにくいこと。 とっても丈夫で、うっかり落としててしまっても、そう簡単には割れません。
だから小さな子ども用の食器にはピッタリ! 我が家もコレールを最初に買ったのは、長女のネネ用にでした。 ネネが生まれて数ヶ月後、お食い初めを契機に、 深めの中皿と、深いボウル、浅いボウルをそれぞれ当時の家族の人数分(つまり3枚づつ)、 それに大きなランチプレートを1枚買ったの。 それは森で動物が音楽会を開いている、可愛らしい柄の一揃いでした。
コレールは確かにとても丈夫でした。 でも、「割れにくい」というのは、「決して割れない」のとは違うんですね。 ソコツ者のうさぎ(とその仲間たち)は今までにコレールを6枚も割りました。 コレールに限らず、食器っていうのは、深ければ深いほど割れやすいみたい。 ランチプレートとお皿は無事ですが、そのとき買ったボウル類は全滅し、一つも残っていません。 一つまた一つとボウルが割れるたび、寂しい思いをしました。
ところでみなさんはコレールを割ったことがありますか? それはそれは不思議な割れ方をするんですよ。 普通の陶器のお皿は、衝撃を受けた部分を中心に、放射線状に割れるでしょ? ところがコレールは、らせんを描くように、渦巻状に割れるんです。 最初にそれを見たときは、この世ならぬものを目撃してしまったような気がして、ちょっと怖かった。 今まで人間だと思っていた人が 自分の胸をこじあけて心臓に油を注しているのを偶然にも見てしまったとか、そういう感じ? 「お‥おまえは誰だ?! どこから来た?!」って思わず聞きたくなるような、 ちょっと異世界からやってきたっぽい素材です。
でも、割ってしまったことのショックは、相手がコレールの場合、少し救われます。 なぜって、また買い足せるから。 うさぎが考えるコレールの最大の利点は、「モデルチェンジをしない」こと。 絵柄は変わっても、形は変わらない。 10数年前に買ったお皿と、今買ってきたお皿がぴったり重なります。 コレールは、絵柄にさえこだわらなければ、いつでも買い足せるのです。
そうそう、セットではなく1枚づつ売っているのもコレールのよいところですね。 しかもスーパーでもデパートでも、いたるところで売っている。 1枚欠いたらすぐに1枚買い足せる。 だからコレールの扱いは、ホント〜〜〜〜に気がラク! もしコレールがこの世に存在しなかったら、食器を割らないようにする日々の気苦労で、 うさぎの頭はいまごろ真っ白になっていたことでしょう。 うさぎにほとんど白髪がないのは、ひとえにコレールのおかげといってもよいくらいです!! 他の食器たち、少しはコレールを見習いなさいっ!
では、その功労者たる我が家のコレールたちをご紹介しましょう。
コレールには様々な大きさ、タイプの食器がありますが、そのうち我が家にあるのは3種類。 直径26センチのランチプレートと、直径16センチ深さ5センチのボウル、 それと直径17センチで2.5センチくらいの深さがあるお皿です。 うさぎって、なぜだかとっても深皿が好き。 だから平らなお皿より、ちょっと縁が上がっているものばかりです。
これらは1枚1枚、買った時期や場所が異なるものの寄せ集めなので、絵柄はバラバラです。 でも形が同じ、材質が同じ、そしてベースの色も同じだと、なんとなく統一感があるでしょう? 柄の違いが却って楽しく、頒布会で揃えた食器みたい〜♪
それにね、ランチプレートなどは、それぞれ「どの柄が誰の」と決まっています。
きりんのは、あっさり爽やかグリーン模様、
楽しいのが好きなうさぎは、賑やかな花模様、
さりげないのが好きなネネには、おとなしいブルーの花柄、
末っ子チャアのプレートは、可愛い森の音楽会。
我が家はみんな、自分専用のランチプレートを持っているのです。 うふふ、楽しそうでしょ?
ところで、長所がいっぱいあるコレールの唯一の欠点、それは「食器らしくない」ことかもしれません。 収納性と軽量性を追及した結果なのでしょうが、 デパートではコレールって、食器のコーナーには置いてないんですよね。 調理器具売り場のコーナーに置いてあります。 「高台もないようなものを、食器として売れるかっ!」 っていうプライドでもあるのかなあ? スーパーでは、ちゃんと食器売り場に並んでいるんですけどね。
まあ確かに、コレールは「フォーマル」ではありませんね。 むしろ、チープでキッチュ。 なんていうか、団体生活っぽい。 だってなんとなく、給食に使うアルミの食器を思い出さない? 薄っぺらくて縁がちょっと上がってて。 ランチプレートに至っては、まさに給食そのもの! でも、そこがいいの。 うさぎは給食が好きだったから、ランチプレートを使うとなんだか合宿しているみたいで、 とっても楽しいんです。
コレールの食器で思い出す楽しいイメージはまだまだあります。 それはテレビドラマ「大草原の小さな家」に出てきた馬車での移動風景。 ローラたちはよく馬車で長い旅をしますね。 何週間もかけて。 その旅途中で食事をするとき、わざわざ陶器の食器を出したりはしません。 縁の上がった金物のベコベコしたお皿をスプーンでカチャカチャ言わせながら、 湯気の立ち昇る、あんまり具の入っていなさそうなコーンチャウダーをすするんです! そういうシーンが、うさぎはなぜだか無性に好き♪
そういえば中学生の頃アメリカにホームステイに行ったときも、 1週間に一度、金曜の夜だけは、親しい人を招き、ダイニングルームの立派なテーブルに贅沢な食器を並べて ディナーパーティを開くのだけれど、 あとの6日はキッチンの小さなテーブルにプラスチックの食器を置いて、簡単な食事で済ませていましたっけ。
コレールにはそういう、開拓時代から続くアメリカを思わせるところがあるんですねえ。 ボーンチャイナが王侯貴族の暮らしから降りてきたトップダウンな食器であるとすれば、 コレールは開拓者の厳しい生活の中から這い上がってきたボトムアップな道具という感じがする。 見た目は一見、陶器っぽいんだけれど、 成型方法はおそらくアルミやブリキ、そしてプラスチックなどの素材に近く、 そういうところが面白いなあと思っています。 どちらかというと簡素な料理が似合う食器ですね。 ストレートで実直で。 だからこっちも、気取らず気負わず、自由な発想で使うことができるのです。
マックのハンバーガーを乗せてみたり、皿を重ねて使ってみたり。
初稿:2005年2月18日