小学生の女の子の二人部屋。
今日は、我が家の子供たちの机の移り変わりをお話しようと思います。
我が家に最初に子供用の机ができたのは、長女のネネがまだ3歳だったときのことです。 近所に住む仲良しのお姉ちゃんが小学校に上がり、学習机をかってもらったとき、 「わたしも机が欲しい」とねだられました。 子供のいうことだからと最初は真面目にとりあわなかったのですが、 何週間も毎日のように言い続けられ、こっちもさすがにちょっと考えました。 そこで、家にあるものを組み合わせ、机のような形に整えてためしに与えてみたのが、我が家の子供机の始まりです。
左の写真の、子供の後ろに写っているのが、その初代の机です。 古い写真をスキャナで取り込んだものなので画像が汚く、ちょっと分かりづらいかな? もともとおもちゃを入れていたプラケースを3段づつ左右に置き、 余っていた食器棚の棚板をその上に渡し、 文庫本用の本棚を横倒しにして上置き棚に見立てて、前に椅子を置いただけのものです。
ありあわせのものをただ組み合わせただけの簡素な机でしたが、 この机が出来上がっていくときのネネの表情は、10数年経った今でも忘れられません。 「これから机を作ってあげる」とわたしが言ったときの信じられないといった表情が 机が形を成してくるにつれ驚きの表情に変わり、次第に期待に満ちてくる。 それはたぶん、10分くらいの短い間のことだったと思います。 大人から見たら不恰好な机でしたが、引き出しはあるし、上置き棚もあるし、 子供の目から見たら売っている学習机とどこも変わらない、立派な机だったのでしょう。 大喜びしてくれました。
机は作ったその日から大活躍でした。 絵を描いたり本を読んだり。 何をするにも、この机の前に座ってするようになりました。 その様子を見て、クリップライトを買いました。 暗いところで本を読んで目が悪くなるのが心配だったからです。
また、この机には「道具」以上の意味があったと思います。 ただのおもちゃ収納庫が机に姿を変えたその日から、そしてそこに椅子を置いたその日から、 そこは「ネネのコーナー」、「ネネの居場所」に変わったのです。 収納してあるおもちゃは必ずしも長女だけのものではなく、次女と二人で遊ぶためのものでしたが、 机と椅子は、「お姉ちゃんの机」であり、 「お姉ちゃんの椅子」でした。
でも、第一号の机は所詮、ありあわせの寄せ集め。 机としては、長く使えるものではありませんでした。 何ヶ月か使ううち、不具合が出てきました。 天板の上に置いた棚の重みで、プラスチックケースの外枠がたわみ、引き出しが開かなくなってきたのです。
そこで、プラスチックケースに負担がかからぬよう、机の枠を作ることにしました。 東急ハンズで鉄のパイプとジョイントを組み合わせてつくるシステムを見つけ、 ちょうどいいサイズに切ってもらって組み立てました。 また、大きなMDF板を買って、天板用に幅140センチ、奥行き60センチにカットしてもらいました。 こうして、幼い子供用にしてはやけに大きな机が出来上がりました。 第二号です。
この机は、長女が小学校に入ってしばらくたつまで、2年ほど使いました。 けれど、軸組みはどうやら机には向かない工法だったみたい。 プラスチックケースが開かなくなる不具合はなくなりましたが、 ケシゴムをかけるたびに机全体がバラバラになりそうな勢いで揺れるのが 玉にキズでした。
左の写真は、長女が小学校に上がった頃のものです。 3歳違いの次女も大きくなってきたので、二人で使えるようにしました。 文庫本用の本棚をもう一つ追加し、それまで長女が使っていた椅子は次女に譲り、 長女の分は新しく買いました。 クリップライトも二つに増えていますね。
そして第三号。 次女が幼稚園に入ったのを機会に、思い切って机を二人分、新調しました。 椅子も、長女のに合わせて次女のを買い足しました。 それまで使っていた回転椅子は、わたしが小学校に上がったとき親に買ってもらったもので、 古い上に安定が悪く、次女がよく椅子ごと転げていたので、これを機会に処分しました。
第三号は、天板の下に浅い引き出しが二つついている以外は、 袖引き出しも、上置きもついていません。 これまで使ってきた上置きや、プラケースがそのまま使いたかったので、 できるだけプレーンな机を選んだのです。
せっかく机がきれいになったので、上置きもカッティングシートや布を貼って化粧しました。 棚の足りない部分にも天板を渡し、机と幅を揃えました。 こうして一手間かけると、一見、廃物利用には見えないでしょう?
また、それからしばらくして、家をリフォームすることになりました。 壁があるために2つの部屋の双方に中途半端な空間があり、もったいないと思ったのが、その動機です。 限られたスペースを少しでも有効に使いたいと思い、 すっかりダメになったカーペットを張り替える機会に、壁を一枚取り去ることにしました。
左の写真は、リフォーム前の我が家です。 子供の机コーナーは、ダイニングの片隅にありました。 その右側は、リビングとして使っていた洋室。 当時、我が家は3DKの間取りでした。
真ん中の写真の赤で斜線が引いてある部分が、撤去予定の壁(引き戸の戸袋)部分です。 大手のリフォーム会社に頼みましたが、カーペット14畳分の敷き替えと戸袋の撤去をあわせた費用は 13万円ほどでした(施工費のみ。カーペットの購入費は別)。
そして右側がリフォーム後の状態です。 テレビ・タンスのセットと場所を入れ替え、子供コーナーを窓際近くに移しました。
元の洋室部分に子供のコーナーを寄せたことで、なんとなく子供部屋っぽい雰囲気になり、 戸袋を取り去って場所の効率がよくなったことで、スペースも45センチほど増えたので、 見た目にも少しこだわることにしました。
時期はちょうど、次女が小学校に上がった頃だったでしょうか。 いかにも小学生の女の子二人の部屋、という感じにしたくて、まずはテーマカラーをピンクに決め、 遊ばなくなっていたおもちゃはだいぶ整理して減らし、プラケースを取り除いて机の下を広々使えるようにしました。 壁には、腰壁風に壁紙を貼り、机の上置き棚やサイドデスクを新しく作りました。 机の上の青い引き出しも新たに購入したもの。 生成りだった本体は、白にペイントして棚と色を揃えました。
二つの机の間に挟んだサイドデスクは、それまで使っていたプラケースの引き出しにきっちりサイズを合わせ、 材料を揃えました。 本体は合板で安く仕上げ、天板はちょっと贅沢にパインの集成材を使ってあります。 上置き棚も、角に丸みをつけたかったので集成材に。 彫刻刀やノミで削ってサンドペーパーで仕上げ、机本体に合わせて白くペイントしてあります。 アクリル絵の具でネームプレートも描きました(写真は名前のところだけ合成してあります)。 黒かったクリップライトは淡いピンクにペイントしました。
中でも一番大変だったのは、サイドデスクの天板の仕上げです。 机の天板より数ミリ薄かったので、2枚剥ぎ合わせ、 縁は、机のルーター仕上げを真似て、彫刻刀で丹念に掘り込みを入れました。 一番右の写真の、右が机、左がわたしの作ったサイドデスクです。 縁の仕上げだけで丸一日かかりましたが、どうです、なかなかきれいに仕上がっているでしょう? この仕上がりはちょっと自慢です。
子供スペースの構成が次に変わったのは、長女が中学に入った年のこと。 長女が個室を欲しがったので、 2度目のリフォームを行い、それまで書斎にしていた玄関脇の小部屋を長女の部屋に作り変えました。 それと同時に次女の机は寝室にしている和室の隅へ。 せっかく揃っている二つの机がバラバラになるのは、なんだか悲しかったです。
ダイニングの隅からリフォームした洋室、更に北の小部屋や和室へ。 考えてみると、元3DKの家の中、全ての部屋に子供の机が置かれたことになります。 ありあわせのものをただ寄せ集めただけの机から、何日もかけてDIYで作り込んだ机まで、幾度も形を変えながら。 置き場所や形を何度も変えて、ちょっとづつ進化してきたのです。 机の変遷はそのまま、子供の成長記録であり、我が家の歴史です。
子供が高校生・中学生になり、転居した今も、この机はそれぞれの部屋に置いてあります。 たぶんもう、子供が成人するまで、そう大きくは変わらないでしょう。
けれどもまたいつか、サイドデスクの左右に二つの机が並ぶ日が来ないかな、と密かに願いつつ、 二つの上置き棚を結ぶサイドデスク用の上置きは、大事に保管してあります。
初稿:2006年11月1日