スープスプーン。
今、木のカトラリーにハマり中です。 だって本当に使い心地がいいの。 口に触れる柔らかい感触がもう最高! 一度使ったら病み付きになり、スープスプーンから始まって、今ではデザートスプーン、パスタフォーク、 カレースプーンと、4種類もあります。 更に今は、レンゲを探しているところです。
これまでずっと、スプーンやフォークの先というのは金属で出来ているものだと思ってきました。 柄が木のカトラリーは以前から愛用していましたが、口に入る部分までが木のカトラリーを使うなんて、 思いつきもしませんでした。
ところが最近、全部が木でできたカトラリーを巷で見かけるようになって、にわかに興味を惹かれたの。 それに安い! 我が家の木のカトラリーはどれも、100円ショップで買ったものです。
形は同じ、ただ素材が違うっていうだけで、こんなにも感触が違うんですね。 これはテーブルの上の小さな革命です。 人懐こい木肌が唇に触れるたび、ほんわかとした気分になります。
初めて使ったその日から、これらが食卓に並ばない日はありません。 木のスプーンでスープをすくい、お茶をかき混ぜ、カレーを食べ、 木のフォークでパスタを食べます。 料理にソースやドレッシングをかけるのも木のスプーンなら、 納豆をかき混ぜるのもこれじゃなくちゃイヤ、って感じです。
ちなみに、木のカトラリーなら何でもいいわけじゃなかった。 うちにあるのは、巷に出回るたくさんの商品の中から、ちょっぴりこだわって選んだ物たちです。
うさぎのこだわりポイント、それはずばり、柄の角度です。 左の写真を見てください。どれも同じように曲がっているでしょう? けっこうこういうの探すの、大変だったんですよ。 いくつものお店を回って、やっと気に入ったのを見つけました。
まだフォークはそうでもないけど、ことスプーンに関しては、ものをすくいやすい角度ってあると思います。 柄から先までが一直線だと、ものがすくいづらい。 だからステンレスのスプーンなんかでも、たいてい柄と先の間に角度がついていると思います。 その角度はそうねえ、だいたい10度くらいかな。
だからほら、我が家にある金属のスプーンやフォークもみな、 平らなところに寝かせると、先っちょが上を向いているでしょう? 角度がついていなかったらこうはならない。
尤も、「例外のない規則はない」とは良く言ったもので、 まっすぐなスプーンというのも、あるにはあります。 たとえば下の写真。 実はね、これは旅先で買った「おみやげスプーン」なんです。 つまり、飾っておくためのスプーン。 デコラティブで、食事に使う用ではありません。 だから角度がついていなくても構わない。 むしろ、傾斜がなくて平たいほうが、壁に飾りやすい。 これに限らず、飾りもの用のおみやげスプーンは割と平たく出来ているものが多いです。
飾りものとして売られているスプーンは平たく、実用的なテーブルウェアとして売られているスプーンは角度がついている。 ところがね、巷で売られている木のスプーンは、テーブルアイテムとして売られているにもかかわらず、 案外、傾斜がついていないものが多い。 これはどうしたことでしょう。
思い当たる理由の一つは、 木のスプーンを「使う」感覚で買う人がまだ少ないからじゃないかと思います。 わたしのように、これでガシガシものを食べようっていう人はまだ少ないのかもしれない。 せいぜいマドラーの代用程度にしか使わないのであれば、見た目が可愛らしければそれで充分で、 機能性まで追求する必要はありませんものね。
もう一つの理由は、平たく作るほうが、コストが安く上がるから。 一枚の板から彫りだすわけだから、凹凸が少ないほうが、そりゃあ板の厚みが少なくて済む。 その分、安く上げられるわけです。 だからかなあ、と思ったりも。
――まあ、これらはわたしの推測にすぎず、本当のところは分かりません。 もしかしたら、きょうび、スプーンの持ち方が変わってきているのかもしれませんね。 国によっては、傾斜のついていないスプーンを使っている国もありますものね。 たとえばお隣の韓国とか。 あんな平たいスプーンでよくスープが飲めるわね、と感心してしまうけれど、 そもそもスプーンの持ち方・扱い方からして、日本とは違うのかもしれません。
ともあれ、わたしにとっては傾斜のついたスプーンのほうが扱いやすいわけで、 だからそこにこだわって探したというわけです。 実際に手で持ってみて、スープをすくうしぐさを何度もやってみて、それで納得して買いました。
ところがね、それでも思わぬ落とし穴があったんだわ。 ――それは個体差です。 こんなに個体差があるとは思ってもみなかった。 だから一つ一つの個体の吟味はそれほどしなかったんですね。
それが使ってみてビックリ! 口にあたる感触がなんだか違う!
そこで並べて見比べてみたところ、柄のアーチや先の厚みにずいぶんな個体差があったというわけ。 どうです? 右の写真。 同じ製品でも、個体によってずいぶんと違うでしょう? まず重さからして違うんですよ。 上のは薄く軽く、下のは分厚くて重くなっています。
これは意外な盲点でした。まあ、角度はちゃんとついているから扱いづらいことはなく、よかったですけれども。 でもね、反面、これには一種、感動も覚えました。 だってこれだけ個体差があるってことは、もしかして、これって一本一本手作りなのかしら?と思って。 人間が一本一本、手で削っているのかしら? でもこれ、100円だったのよ。
おかしなもので、個体差があると知ったら、ますますいとおしくなりました。 だってなんだか生きているみたいじゃない? 一つ一つ個性があるなんて。
ともあれ、使い勝手は上々。見た目の優しさといい、口当たりの優しさといい、大満足です。 金属みたいに熱くなったりしないから、やけどする心配もないし、 フォークがこれまた秀逸で、金属よりすべりが悪い分、パスタがよく絡んで食べやすい。
ただ金属のように固くはないので、肉に突き刺して食べるには不向きかな。 大事に使っているつもりですが、先っちょのほうがちょこっと欠けてきちゃったのもあります。 それに、身が厚いので、パスタが隙間に挟まってとれなくなることも‥。 洗えば簡単にとれるのですが、食事の間、短いパスタが隙間に挟まっているのが気になる人もいるようです。
耐久性に関しては、わたしもまだ使い始めて数ヶ月なので、分かりません。 あまりもたないのではないかと思うので、少し多めに買ってあります。 まだ出会って日も浅いのに、もうこれなしでは生きてけない、って感じです。
最初は目新しかったけど、よく考えたら、箸だって木でできているんですよね。 道理でしっくりくるわけだわ。 今までなかったのが不思議なくらいです。
初稿:2007年1月18日