到着ホールに出ると、ツアーの日本人係員が鈴なりになって待ち構えていた。
相当数いた外人さんたちはどこかに掃けてしまい、
さして広くもない到着ロビーは日本人でごった返している。
居並ぶスーツケースには大手旅行会社のマーク入りタグが翻り、
辺りには飛び交うのは日本語である。
中には『農協ご一行様』みたいな一群もいて、添乗員が幕の内弁当とお握りを配っていた。
数十人の彼らが早速開いたお弁当の匂いが漂い、
到着ホールはさながらピクニックエリアのよう。
7時間も飛行機で飛んできたというのに、まだ日本にいるような、妙な気分になった。
◆◆◆
国際線ターミナルから少し離れた国内線のターミナルビルは平屋建てで、
単純な作りであった。
入口を入るとすぐ免税店に囲まれた出発ロビーで、
3つしかないゲートもロビーに面している。
だから迷いようもないのだけれど、それでも係員さんが個別に乗換えを指示してくれた。
「○○さんの行き先は△△ですから、××ゲートに□時□分に行ってください」などと。
いやー、今回の乗換えはラクだー。
間もなく搭乗時刻がやってきた。
さあ、飛行機に乗り込むぞ、と航空券のチェックをすませ、ゲートをくぐり抜けたら。
ありっっ?? ‥外に出てしまった‥。
意外な展開に戸惑う4人。
今回の乗換はラク‥なんだよねえ?
地面にひかれた白い線を辿って、日除けのある道を行く。
これが結構長い。どこまでも続いている。
しかも途中で分岐が!! 「QF○○便→」みたいな表示がある。
それ以外ならば直進か? まるでフローチャート。
まさかゲートをくぐってからが、乗り換えの正念場だったとは‥。
廻りに人影はない。
軽装の子供たちが「寒い、寒い」を連発する。
空は白んでいるものの、あたりはまだ暗い。
歩道の右側に広がるのは広大な飛行場で、その先は山波だ。
‥こんなの初めて!
本当にこんなとこ歩いてていいのかなー?
目的地はどこなのー?
不安になりながらも行くと、遠くに小さな飛行機が見えた。
あれ、もしかしてあれに乗るのかなー?
と、スチュワーデスが一人近づいてきた。
指示されるまま搭乗券を見せると、
彼女は小さな飛行機のそのまた先にあるやっぱり小さな飛行機を指し示した。
「手前のはエアーズロック行き。その向こうのがハミルトン行き」だそうだ。
今まで歩いてきた日除けのある道から飛行機の近くまでは、横断歩道が描いてあった。
横断歩道! 飛行機が走る道を、人間が歩くことがあるなんて!!