飛行機は朝日の中を飛んだ。
海が見える。
船、街並、山、川。
プロペラの回る振動が感じられるけれど、揺れの少なさはジャンボ機と遜色がない。
酔い止めを飲む必要はなかったかもしれない。
ハミルトン島までのフライトは一時間ちょっと。
到着が近づくと、うさぎは窓の外を頻繁に見やり、
ホワイトヘブンビーチを上空から一目見んと目を凝らした。
そして、果たして。
見えた!!
ほんの数十秒の出来事ではあったけれど、確かに見えた。
真っ白な砂が、青い海水と戯れるように広大な洲を作っている。
満潮なのか、パンフレットで見た写真よりも、青が白に勝っている。
そしてそれに続く真っ白な砂浜‥。
もうすぐ、うさぎたちはあそこに降り立つのだ。
◆◆◆
ホワイトヘブンビーチからハミルトン島まではほんの10キロ。
あっと言う間に空港に降り立つかと思いきや、
飛行機は滑走路の向きに合わせて海の上を大きく旋回、思いのほか時間がかかった。
そして、やっと照準を合わせると、滑走路めがけて一気に滑り込んだ。
ハミルトン島の滑走路は海の上に張り出して作られている。
滑走路に届かなくても、行き過ぎても、海に突っ込んでしまう。
それを想像すると身が縮まった。
けれど飛行機は無事到着、またもやだだっぴろい飛行場のど真ん中に止まった。
ここから到着ロビーまで、やっぱり歩くわけだー。
なーんか、すごいよねー。
飛行機が走るところを人間が歩くなんて。
でも、ここでやっと分かった。
「空港」だと思うから変に思えるんだ、って。
「空港」ではなく「飛行場」だと思えば、 飛行機から下りて歩くのも当たり前、っていう気がなんかしないか?
ケアンズで山の向こうの隠れていた陽はすっかり昇りきり、あたりは明るい。
相変わらず気温が低く、風が冷たいけれど、日差しは強い。
うさぎたちが飛行場を歩いていると、荷物を乗せたバギーが追い抜いて行った。
よかった、ウチが預けた荷物もちゃんと乗っかっている。
預かり手荷物は放っておいても自動的にホテルへ運ばれるので、安心だ。