Canada  北米一のゲレンデ・ウィスラー

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【 雪のウィスラー 】

トレーニングパーク

トレーニング・パークは、ゴンドラの中間駅『オリンピックステーション』の側にあり、2つのエリアがあった。 一つは、2本のTバーリフトの間に作られた緩やかでごく簡単な障害物コースで、障害物を避けていくタイプと、 旗の下をくぐり抜けるタイプの2コース。 もう一つは"Platter"(プラター――動く歩道みたいなの) の脇に作られた、ほんの少し急な斜面のコース。 どのコースもほんの20〜30メートルほどなので、Tバーやプラターで坂を上っては降り、上っては降り、 を繰り返すことになる。

最初にうさぎたちが滑ったのは、障害物を避けていくコースだった。 障害物が赤や黄色、緑、青、紫と色とりどりで楽しげだったのが目を引いたのだった。 Tバーリフトは、去年斑尾に行った時にはTバーリフトで子供たちがずいぶん転んだので心配していたが、 ここのは斜面が緩やかなのでラクだった。それでも何度か転んで止めてもらったが――。

トレーニングパークの近くにはウィスラーキッズがあり、そこの若い指導員たちが、 ほんの小さな、ヘタすりゃおむつも取れていないんじゃあないか、というような子供たちを、 ほとんど1対1のつきっきりで指導していた。

「そう! キミにならできる!」
「上手! カンペキ! 素晴らしい!」
「なんて上達が早いのかしら!」

彼・彼女たちは、子供を褒めて、褒めて、褒めまくる。 子供を励まし、ヤル気を引出し、頑張ったら抱きしめて褒める。その指導ぶりは、傍で見ていて大変参考になった。 それに、彼らが子供たちにストックなしで滑らせているのを見て、うさぎたちもストックなしで練習することにした。

Tバーで上っては滑り、上っては滑り‥。うさぎも最初のうち何本か滑ったが、すぐに飽きてしまった。 ところが、子供たちはこういう反復練習こそ大好き! きのうは急な坂で立ち往生していたチャアが、ここでは水を得た魚のように活き活きと練習を繰り返している。

最初小降りだった雪は、次第に強まり、それにつれて気温も心なしか下がってきた。 元気に滑っている子供たちの方はそんなことはお構いなしだが、 子供たちの雄姿を収めようとビデオやカメラを構えているきりんとうさぎは凍えてきた。 また、凍えているのは人間様だけではなくて、ビデオのバッテリーやカメラの電池の方も、寒さにうち震えていた。 きりんはビデオにビニール袋を被せ、ふところに入れて温めながら撮影し、 うさぎはカメラの底にホッカイロを張り、仕事を怠りがちな電池を叱咤激励しながら撮影した。

2時間ほど降りしきる雪の中に佇むうち、氷の彫像になってしまいそうな気がして、 うさぎはウィスラーキッズの建物の軒下に腰を下ろした。 そのうちネネも反復練習に飽き、雪の上に座り込んで絵を書き出した。 唯一、チャアだけはいつまでも飽きずに滑っていた。

雪足がますます強まり、いい加減気温が下がったところで、うさぎは部屋に帰ることを提案した。 ウィスラーキッズの子供たちも、お昼を食べに帰ったままゲレンデに出てこないところを見ると、 午後は建物の中で温かく過ごすのだろう。

せっかくノリにノっているチャアに滑るのを止めさせるのは惜しかったが、 とりあえず障害物コースから引き上げさせた。
けれど、ゴンドラの駅まで歩く間に、チャアはまたプラターで上がるコースでひっかかってしまった。 ここでまた何本か滑り込み、やっとトレーニングは終わりを告げた。

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