【 飛行機 】
飛行機って大好き! 左右に広げた大きな翼、白鳥のように真っ白な機首、誇らしげにピンと立った尾翼‥。 優美で立派な大型機たちが空港で翼を休めているのを見ると、もうワクワクしてしまう。 世界中から集まった大型機たちは、尾翼に様々なマークをつけている。 フランスからきた飛行機は尾翼をトリコロールに塗り分け、 オーストラリアからきた飛行機にはカンガルーが描かれている。 エア・カナダはメイプルリーフ、エア・パシフィックは虹と共に"FIJI"のロゴ。 日本航空はもちろん日の丸を模したツルのマークだ。 みな自国を象徴するマークや色を機体にあしらい、誇らしげに並んでいる。 まるで、世界各国の外交官が一同に会しているみたいに。その華やかさ、晴れやかさがいい。 ところで、大型機の集団の中には、小国や貧しい国から来た飛行機の姿もある。 アメリカや日本のような経済大国ならいざ知らず、たとえばフィジーのような小国までが 何億円もする大型機を持っているのはちょっと不思議である。 人口が日本の政令都市一つ分にも満たないような小国に、 自然の成り行きでそんな裕福な航空会社が誕生するとは考えにくい。 思うに、世界の空に自国の飛行機を飛ばすための何らかのてこ入れが、 国を挙げてなされているのではあるまいか。
そして。たとえそれがまるっきりの採算度外視だったとしても、うさぎはちっとも驚かない。
だって、仮にうさぎが小国の総理大臣で、よその国に外遊したとき、
並み居る大型機の中に自分の国の飛行機がいなかったら、すごくさみしいもん。
次に来る時は、ここに自国の飛行機がいる光景を、なんとしても見たい、と思うもん。 昨年のテロ事件のあおりを受けて、 スイスエアーと、サベナ・ベルギー航空が倒産したというニュースを新聞で読んだ。 それは、いつかその飛行機に乗ってヨーロッパへ行きたいと思っていた身には とてもさみしいニュースであったけれど、 その国唯一の航空会社が潰れる、ひいてはその国の象徴ともいえる飛行機がなくなる、 ということは偶発的なハプニングでは決してなく、役割を終えたということではないか、 とも思った。 自国のマークをつけた飛行機が空を飛ばなくなることを見過ごしにできるということは、 その国のアイデンティティも薄れつつあるということではないか、と思うのだ。
関税撤廃、通貨統合などを経て、ヨーロッパはどんどん一つになりつつある。 2002年7月20日 うさぎ |
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