Fiji  マナ島とフィジアン

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【 誰もいないフィジアン・ブレ 】

ギターを弾くきりん

今日のアクティビティで気になるのは、バスケット作りとフィジーの衣装の試着。 バスケット作りは10時15分からと黒板に書かれていたので、その時間にフィジアン・ブレに行ってみた。
ところがフィジアン・ブレには誰もいない。バスケット作りはまだ始まっていないようだ。

板の間に腰をかけて待っていると、子供たちに囲まれたフィジアンのオバチャンがそばを通りかかった。 オバチャンはネネとチャアを見付けて、
「ユー、ジャパン、カム! (そこの日本人もおいで) 」と手招きをした。
「なんか誘われてるみたいよ、どうする?」と言うと、ネネとチャアはしょうがないな、という表情で立ち上がり、 オバチャンについていった。

子供たちの一群がにぎやかに行ってしまうと、フィジアン・ブレはきりんとうさぎの二人だけになった。 静まりかえったブレにぽつんと残り、しばらく二人でぼんやりしていたが、誰もこない。
「ネネたち、一体どこいっちゃったんだろうね」ときりんがふと言った。 「ちょっと探して、ビデオでも撮ってくるわ」、そういうと、きりんも行ってしまった。

後にはうさぎ一人が残された。静かなブレで、風の音を聞きながら、またしばらくぼんやりした。
どのくらい時間が経っただろうか、一人でこうしているのもあまりに馬鹿馬鹿しいので、 うさぎもみんなを探しに出掛けた。

最初は子供たちが行った道を辿ってみたのだが、道はすぐにいくつにも分かれてしまい、 どっちへ行ったらいいのか分からなくなった。 今初めて気がついたけれど、リゾート内の地理は、まだ全然分かっていないのだった。 「セントラルエリア」と呼ばれる、プールやレストランが固まった一角以外は。 うさぎたちのブレもその近くなので、昨日はその一角で全て用が足りてしまったのだ。

しょうがないので、当てもなく、道を外れて林の中に分け入った。 林といっても、うさぎたちのブレの付近同様、草むらの中に南国の花をつけた灌木が生え、 同様のブレがそここちらに建っている場所だ。
ブレの玄関には針金が渡してあり、そこには様々なものが干してあった。 タオル、水着は当たり前、中には靴下やサンダルや、下着が干してあるブレも。 場所によっては、林の中に長い針金が渡してあり、そこでシーツがハタハタと風に煽られてはためいていた。 普通のリゾートでは、人の目の付くところに洗濯物を干すなんてご法度なのに、ここは本当におおらかだ。 夜間だけは洗濯物を外に干さないように注意を受けたが、それは美観の問題ではなく、 単に夜半は風が強くて洗濯物が飛んでいってしまうからなのだった。

しばらく無茶苦茶に歩いてみたが、林はどこまでも続いている感じだった。 尤も、同じところをグルグル回っているだけのような気も‥? このまま歩きつづけても、到底みんなを捜し出せそうにない気がしたので、 とりあえずフィジアン・ブレに戻ることにした。
フィジアン・ブレに戻ってしばらくすると、きりんも子供たちも帰ってきた。 チャアはさっそく友達ができたらしく、2つ3つ年下の白人の子にちょっかいを出している。
「どこへ行ってたの?」と聞くと、桟橋で魚にエサをやっていたと言う。そこで初めて思い出した。 そういえば、キッズクラブのメニューに「フィッシュ・フィーディング (魚の餌づけ) 」というのがあったっけな、と。

子供たちがフィジアン・ブレに帰ってきた頃、ようやくバスケット作りは始まった。 子供たちがフィジアン・ブレに張りついてバスケット作りの材料を眺めていると、オバチャンが言った。
「これは大人のアクティビティだからね。子供たちはあっちだよ」オバチャンはそう言うと、 子供たちを広い芝生の方に連れだし、ゲームを始めた。

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