マクドのハンバーガーを食べおわり、 ネネとチャアが隣りのジャクソン民芸品店のトイレに行こうとラウンジの外に出ると、 数人のお嬢さんに呼び止められた。英語で話し掛けられたものの、ちんぷんかんぷん。早速うさぎを呼びにきた。
お嬢さんたちは、インド系。美しい褐色の肌に、大きな瞳、つやつやとしたまっすぐな黒髪を後ろで束ねている。
うさぎと目が会うと、4人は真っ白な歯を見せて恥ずかしそうに笑い、そのうちの一人が代表で話しかけてきた。
「すみません、日本について勉強している者ですが、ミスター・アリはおいででしょうか。彼を頼ってきたのですが」
このリーダーはとても美人で、なんともチャーミングだった。
ふっくらとした頬に浮かべた、そのこぼれ落ちんばかりの笑には、思わずこっちの顔までほころんでしまう。
アリさんはちょうど不在だったので、代わりにラウンジの日本人女性を連れてくると、 彼女は「ミスター・アリは30分ほどで帰ってくるから、また後で来るように」と言い、女の子たちを帰した。
トイレを済ませたあと、クイーンズロードを挟んでラウンジの向かいにあるスーパーに向かうと、
その入口でまたお嬢さんたちとすれ違った。うさぎの顔を見るなり、4人はまたはにかむような笑みを浮かべた。
「あなた方は高校生?」と話しかけると、それを代表で受けたのは、やっぱり美人のリーダー。
「いいえ、商業学校の生徒です。わたしたち、そこで日本語を勉強しているんです」
そのとろけそうな笑みには、思わず体がクンニャリしてしまいそう。笑顔一つで、気分がウキウキしてきた。