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	ここではジミーさんが、
	グアムの伝統的なやり方で椰子(ココヤシ)の実を剥いたり割ったり削ったりして見せてくれた。
	
まず固い椰子の実を剥くには、尖った木の棒の先に実を打ちつけるようにして引っかけ、 ベリベリベリ〜と豪快に剥く。いかにも原始的なやり方だが、ナイフなどで剥くよりずっとラクで速いのだそうだ。
	椰子の実の外皮(正確には"中果皮")を剥くと、皮の裏側は細い繊維でモシャモシャしていた。
	これを編んでゴザなどが作れるのだそうだ。もと仕立て屋の横井さんはこれで服まで作ったという。
	で、その外皮の中には、直径10センチくらいの種みたいな"シェール(内果皮)"が入っている。これがまた固い。
	けれど、ジミーさんがコン!!、とナイフを打ちつけると、パカンと音を立てて割れ、
	中からココナッツジュースがばしゃばしゃ出てきた。
	パカンと割ってはコップに注ぎ、パカンと割ってはコップに注ぎ、上手いものである。
	器用なその手つきを見ているだけで、なんだか楽しい。
	ジュースの味も良かったらしく、ままりんがうさぎの分まで飲んでしまった。
	
ジュースを注ぎ出した後のシェールの内側には、乳白色の胚乳(コプラ)がびっしりとついており、 これを削り取りとったものが、ケーキやドーナツにかける、いわゆるココナツである。 グアムにはこれを削る専用の道具があって、それは、踏み台の先に、 洋裁で型紙を写す時に使うルーラーのような円いギザギザがついたものである。 ココナツを削るには、この踏み台に跨がり、半分に割ったシェールをギザギザに当てて擦り取る。 ジミーさんは巧みにシェールを回しながら満遍なく削っていき、わずか20秒足らずでシェールの半身を削りおえた。 ギコギコと削れる音が爽快で楽しそう。 うさぎも後で試してみたが、ココナツ部分がけっこう固く、また球の内側がうまい角度でギザギザに当てられず、 ちっとも削れなかった。
	さて。ココナツを削り取った後は、ココナツミルクとココナツオイルの作り方を教えてもらった。
	削ったココナツを掌にのせ、ギュッと握って絞る。
	出てきた白い汁をもう一方の手で受け止め、嘗めてみると、これがもうコクのあるココナツミルクなのだ。
	更に、ココナツのしぼりかすを捨てると、掌に油分が残る。
	これがココナツオイルなのだそうだ。
	手を軽く水で洗い、それでも残った油分を腕やら肘に延ばすと、しっとりしてなかなかいい感じ。
	ちょっとココナツ臭いけど。ままりんはこれが気に入って、後で売店でハマモト印のココナツオイルを買った。
	レイコさんの話では、アトピーにも効くのだそう。