【 マレーシア航空 】
朝早く家を出て、午前10時には飛行機に搭乗。 今回乗ったのはマレーシア航空ＭＨ089便、ボーイングの最新ジャンボ、747-400であった。
飛行機の席につくと、なにやらいつもと様子が違った。
前の席の背に張りついた液晶テレビは何??
アームに埋め込まれたコントローラは一体?!
きりんが早速アミューズメントガイドのページを繰ってみる。そして言った。
「ねえ、すごいよ、この飛行機。ディスプレイが一人に一つ付いてる。しかもこれでゲームができる。
お〜っと、『ゼルダ』や『マリオ』がサポートされてるじゃーん!!」
うさぎと子供たちは騒然となった。
「やったー!! すごい！ もしかして、ゲームボーイなんて持ってくる必要なかった?!
『ゼルダ』なんかやりはじめたら、飛行機降りたくなくなっちゃうよねー♪♪」
さすがは最新型ジャンボ、個人ディスプレイに加え、フットレストも装備。 コントローラの裏は電話になっていて、機内電話もかけられる。まるでファーストクラスみたい。 ひょっとしてスリッパも必要なかったかも。
うー、早く離陸して、安定飛行に入ってくれないかな。そしたらゲームができるのに♪♪♪
すっかりのぼせ上がった頭を冷やせと言わんばかりに、離陸前からおしぼりが配られた。 紙のおしぼりなんかじゃなく、ちゃんとしたタオル地のおしぼりだ。ひんやり冷たくて、花のかおりがする。 子供たちにはマッチ棒ゲームも配られた。
「いい飛行機だね〜♪」
と子供たち。
スチュワーデスは中華系が多く、エキゾチックな制服に身を包んでいた。
上着とロングスカートに分かれていて、ピーコックグリーンの地にピンクと紫の花模様。
男性のクルーも中華系で、同じピーコックグリーンの背広。
背広の下襟に金糸の刺繍がごちゃごちゃと施されていて派手である。
座席カバーもピーコックグリーンなので統一感があり、オシャレな雰囲気。
この列担当のスチュワーデスはスー・アン (SU ANN) さん。やはり中華系の美人だ。
「さあ、ゲームをやるぞ!!」
飛行機が離陸して安定飛行に入ると、うさぎたちは意気込んでコントローラを操作した。
‥だが。なんか変。窓際の席に３人並んだうさぎ、ネネ、チャアのコントローラはゲームモードにならない。
アンさんに事情を話すと、
「設定を確認して来ます」と言って行ってしまった。暫くして彼女は戻ってきて言った。
「どうもこの３席はどこかが壊れていてゲームモードにならないみたいです」と。
え〜!!!
がっかりしたうさぎの顔を見てアンさんは言った。「席を替えてさしあげましょうか？」
けれど、この申し出をうさぎは断った。だって見渡したところ機内はほぼ満席。とても４人で一緒に席を移れるとは思えない。
バラバラにはなりたくないし、ちょうど機内食が配られたところだったから。
だが。この顛末を知ると、ネネとチャアは深く深くがっかりしてしまった。
予定どおりゲームボーイで時間を潰せば良いのだが、期待が大きかっただけに、落胆も大きいのだ。
「どうしてもやりたかったら、きりんと席を替わってもらえば？」と言ったのだが、きりんの席も、ゲームモードにはなるが、
ゲームの起動ができない。どうやら、すったもんだしているうちに、早い者勝ちのゲームの起動に出遅れたらしい。
がっかり、がっかり、がっかりーーー!!!
仕方がないから、映画でも見よう。‥と思ったら、コントローラにはエラーコードが表示されて全く作動しなくなった。 ネネとチャアの席のコントローラは動くのだが、うさぎの席のはどうやらカンペキに壊れているみたい。 ‥あ〜あ。うさぎは深いタメイキをついた。
機内食は、今回もネネとサヤにキッズミールを頼んだ。キッズミールのどこがいいって、真先にサービスされるのが良い。 メニューも、子供好みという以前に、万人向けでクセがない。 今回も、鶏肉とニッシュルームのホワイトソース和えをメインディッシュに、フライドポテト、温かいロールパンに果物、 プリン、ヨーグルトなど、子供たちの好物ばかり。 しかも日本製。本当はきりんもキッズミールを頼みたいんじゃないのかな。
大人用のメニューも悪くなかった。 きりんの肉料理（若鶏の照り焼き）についていたしめじや山菜がおいしかったし、 うさぎの魚料理（白身魚のグリルに田楽味噌添え）も、付け合わせがひじきの煮物や人参のソテー、 チキンの油揚げの巻きなど和食で、食べ慣れた味だった。茶ソバもまあまあ。
機内食が食べおわって暫くすると、チョコアイスもなかが配られた。たったいま冷凍庫から出してきたばかりのカチンコチン。 飛行機の中でアイスって、ちょっと意外で嬉しい。
機内食を食べおわると、あと４時間以上も全くやることがなくなった。ゲームはできないし、映画さえみられない。 飛行機が今どこを飛んでいるのかも分からない。 入国手続き書類 (外貨持ち込みに関するお尋ね) の記入がせめてもの気晴らしだ。 でもこれもあっと言う間に書いてしまった。仕方ない。持ってきた「お絵描きロジック」でもやるか。
ネネとサヤは隣でゲームボーイに夢中。それに飽きると、サヤは寝てしまい、ネネは映画を見ていた。
きりんは、というと、機内食のあとしばらく映画を見ていたと思ったが、いつのまにやら居眠りしている。
寝るなら席を替わってほしいと思ったが、起こすのも可哀相だ。後にきりん曰く
「映画は12種類もの中から選べるのはいいけど、機内食後に何の合図もなく一斉に始まるので、そのチャンスを逃すと、
どれも途中からしか観られなくて、がっかり」なのだそうだ。
そうか、ビデオのように自分の好きな時に見られる訳じゃないのかー。