うさぎがラササヤン探訪から一時間半ほどして部屋に帰ってみると、3人はまだぐっすりと眠ったままだった。
6時半ごろ、やっときりんが起きたので、今夜の食事の予定を立てることにした。 ネネとチャアは今なおぐっすりと眠っていて、起きる気配がない。 きりんとうさぎは子供たちを置いて、食料の買いだしと屋台の偵察に行くことにした。
浜辺を通ってゴールデンサンズを抜け、昨夜は閑散としていた屋台村へ。
そこは、昨夜とは打って変わった賑わいだった。バティックの店が何軒も並び、小さな食べ物屋も何軒かある。
「屋台」というより、小さな「何でも屋」という感じ。
呼び込みの声も賑やかで、売り子が次々と寄ってきては、これはどうだ、あれは安いぞ、店の中も見てみろ、と勧めてくる。
もうやかましくてやかましくて、品物を見るどころではない。
ちょっとでも興味のあるそぶりなど見せたら相手の反応やいかに、と思うと、おそろしくて近くにも寄れない。
うさぎたちは、その呼び込みを振り切り、振り切り、伏目がちに早足で歩いた。
ようやく喧騒の渦を渡りきり、ホテルロードにたどり着くと、二人して大きくハアーッと息をつき、顔を見合わせた。 相手の顔を見ただけで、お互いの考えていることは分かった。 二人とも、〔ここには二度と足を踏み入れたくない〕と思っていたのだった。
屋台村の入り口のホテルロードを挟んだ向かいに、小さな店があった。 飲み物、お菓子、コーンフレークやジャム、それに絵はがきや便箋などがあり、DPEもできるコンビニのような店だ。 ここの店員はレジを打つだけ。あれこれ勧めてきたりはしない。 ああ、人に干渉されることなく商品を選べるって、なんて気楽なのだろう! うさぎたちはここでスナックやら飲み物やらをどっさり買い込み、ホテルに帰った。