Malaysia  ペナン島

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【 ガーデンプール 】

ウォータースライダー

「ママーっ、プールに行ってくるからー!!」という声で目が覚めた。 8時だ。子供たちはきのう夕方から寝ていただけあって早起きだ。 きりん曰く、ネネは5時、チャアは6時からベッドの上でゲームボーイをやっていたそうだ。

きりんを含めた3人がプールに出掛けてしまった後で、うさぎはのんびり起きて顔を洗い、食事をした。 今日の予定は、午前中がガーデンウィングのプール、そして午後からペナンの中心街ジョージタウンへ行く。

皆に遅れること、2時間。プールに着くと、チャアの声があたりにこだましていた。

「こわいー! こわいー!!」

声のする方へ言ってみると、今しもチャアがネネと一緒にウォータースライダーを滑り降りてくるところであった。 ここのウォータースライダーは殊のほかよく滑るらしい。

チャアが泣き声を立てながらも無事着水すると、歓声が上がった。 見ると、3人の日本人のおばさんたちがきりんの脇に立ってチャアを応援していた。あたりは静かで、他には誰もいない。 うさぎが現れると、おばさんたちも役目を終えたかのようにどこかへ行ってしまった。

ガーデンウィングのプールは、メインプールとは全く異なる趣を持っていた。 メインプールの直線的で折り目正しい形に対し、ここのは植え込みと絡み合うような曲がりくねったやわらかな形をしている。 メインプールの明るく堂々とした優等生的な雰囲気に対し、ここにはしっとりと落ちついた隠れ家的な雰囲気がある。 メインプールを「陽」とするならここは「陰」。 メインプールを男性的と形容するなら、ここはきわめて女性的である。

ウォータースライダーは、ビーチから一番奥まったところにあり、一本の大木と幾つかの大きな石で支えられていた。 その辺りは、椰子の木がうっそうとしているので暗い。 更にその周りはガーデンウィングに囲まれているので、声がこだまする。 水面に影と光が交差し、タイルが水の底でゆらめき踊る。まるで森の中の、秘密の滝壺のようだ。

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