Malaysia  ペナン島

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【 ペナンのマクドナルド 】

ペナンのマクドナルド

昼食後、うさぎたちは、シャングリラホテルの3階から、空中廊下で繋がったコムタへとやってきた。

コムタの三階は、ショッピングアーケードとなっており、ケンタッキー、 マクドナルドといった日本でもお馴染みの店が軒を連ねていた。
通路は若者でごったがえしており、どことなく新宿の地下街のような雰囲気であった。但し、ひと昔前の――。
ファンシーショップには日本でもお馴染みのキャラクターたちが並び、店の前にはプリクラの機械が置いてあったが、 キャラクターグッズは見るからに海賊版で、 ドラエモンとキティちゃんとくまのプーさんが同居したグッズなんてのがあったし、 プリクラ機にRM1コインを8枚(!)入れると、画面がスクロールしはじめて止まらなくなった。 店のおじさんが機械の脇腹をドン!と拳でどついて直してくれたが、なんだか懐かしい機械の直し方である。

ここには日本人と変わらない容姿の人が多く、服装も、 色とりどりのスカーフを被っている女性の姿をときおり見かける程度で、日本とそう大差はなかった。 専門店に囲まれた広間にステージがあり、そのまわりが露天でごちゃごちゃしているというのも、 なんとなく新宿のアルタ付近の雰囲気に似ている。 ペナンは中華系の人々の比率が多い町だから、まあちょっと懐かしい雰囲気ではあるものの、 そう珍しいものは見られないかも。うさぎはちょっとがっかりした――と、その途端。

ア〜ア〜〜

というような不思議な抑揚の声が、大音響で聞こえてきた。 ぎょっとして振り返ると、それはどうやらステージから流れてきているようだった。 なんと、ロックコンサートでもやるためのステージかと思いきや、そこでイスラムのお祈りが始まったのであった! 

おお、やはりここはイスラム圏であったか! うさぎはにんまりし、もう一度広間に並んだ出店をチェックした。 すると、あった、あった。おもちゃの実演販売やら、化粧品の対人販売やら、 観光客目当てにパレオを売る店といった珍しくもない露天の中に、 黒地に金糸で縫い取りをしたアラビアの書を専門に扱う額縁屋や、 コーランや「アラビア語入門」といったアラビア関連書籍専門の本屋があった。

さてそれなら万国共通のサービスを売り物にするマクドナルドはいかがであろうか。 そう思って覗いてみると、メニューにはどこといって変わったものはなく、価格も日本より少し安い程度だったが、 女性の店員さんが帽子の代わりにスカーフを被っているのを発見した。
同じ店員でも、男性や、中華系の女性は制帽を被っているのだが、マレー系の女性だけは、制服とコーディネートされた、 マクドナルド特製の"制スカーフ"である。

スピーカーから流れ出るお祈りの声、露天で扱うアラビアグッズ、そしてマクドの制スカーフという駄目押しで、
「うーむ、やっぱりここは回教国なのだ」とうさぎは妙に納得してしまった。 ここは、経済的にはアメリカの方を向いていても、文化的にはアラビアの方を向いている国なのだ。
のちに露天商でうさぎが買った子供用の絵本には、家の中や、町の中、動物園などがテーマ別に描かれており、 物の名前がその絵の周りにマレー語、英語、アラビア語で書かれていた。 英語と同じ重きを置いて、子供にアラビア語を学ばせようとするところに、 この国におけるアラビア文化の重要さがうかがえた。

では最後に一句。

異文化を 挟んで食べる ハンバーガー

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