コムタタワーはジョージタウンのランドマークと言われる65階建ての塔である。
その58階にある展望台からうさぎたちもぜひ街を眺めてみたくて、コムタにやってきた。
ところが。コムタタワーに入る入り口は、とても分かりづらいところにあった。
実はトライショーに乗る前にも案内図の掲示を見ながら捜したのだが、結局見つからず仕舞いで、
それでトライショー観光を先に済ませた経緯もあった。
そんなわけで、トライショーから降りると、うさぎたちは早速コムタタワーの入口探しを再開した。 もう一度コムタのアーケードへ行き、案内板の通りに歩いた。 案内図の指し示す方は駐車場で行き止まりになっていたが、まさかとは思いながらも、 念のため薄暗い駐車場にまで足を踏み入れた。――だが、ない。
万策尽きて、うさぎは駐車場の脇にある売店で道を尋ねた。 すると、その売店で買い物をしていたおばさんが親切にも案内役を買って出てくれた。 彼女は駐車場の中をずんずん入って行き、その中にある小さなフロアにうさぎたちを招き入れた。
えっ、ここ?! ここから展望台に上るの?!
うさぎは面食らった。だって、コムタタワーの展望台は名だたる観光名所のはず。
それが、どうしてこんなにマイナーなところにあるのだろうか。
バイクがいっぱい置いてある、暗い駐車場のど真ん中、それもこんなに殺風景なフロアに。
確かに58階まで行くエレベータがあって、「雲中閣」がどうのと書いてはあるけど‥。
うさぎはショックを受けながらもおばさんに礼を言い、一抹の不安を抱えながらもエレベータに乗った。
中には制服を着たおじさんが丸椅子に座っており、うさぎたちが乗ると、展望台のある58階へとエレベータを作動させた。
「雲中閣」(なんて雰囲気のある名前!)はごく普通の展望台であった。 エレベータの前は広い売店になっていて、その外を通路が取り巻いている。 その通路の窓越しに、ジョージタウンを展望できるのだ。
エレベータを降りたうさぎたちが売店のレジの前を素通りしようとすると、売り子のお姉さんに呼び止められた。 ここでは入場料が必要だという。一人RM5(約150円)。それは初耳だったが、チャアを除いた3人分の入場料を支払った。 後で知ったことだが、この売店では、入場料分の買い物がタダになる仕組みだったらしい。知らなくて損したー。
展望通路は、床から天井までぐるりとガラス張りで、町並みがよく見えた。 だが、ガラスが汚れきっているのと、ガラスの外の張り出し部分が鳥のフンでいっぱいだったので、 あまり気持ちが良くはなかった。どうやらこの街の人々は、こと建物のメンテナンスに関してはいたって無頓着なようだ。