お昼を食べ終わると店のおじさんが飼っている魚を見せてくれるという。
このおじさん、とてもひょうきん者。
「私日本人大好き。ここから下はマレー人でここから上は日本人です」
おじさんは日本語も英語も話せないがガイドさんがそう通訳してくれた。
「普通、日本人なら立てに割っていうけど、
おじさんは下半身がマレー人で上半身が日本人って面白いでしょ?」
「地についている方はマレー人だけど、気持ちは日本人って事だそうですよ」
おじさんがまたガイドさんに何やら言っている。
「あなたは、下半身が日本人で、上半身はマレー人ね」だそうです。
ガイドさんはマレーシアに落ち着いている様だ。
おじさんについていくと、何やら木の棒のところにくっつけている。
「これは魚の皮です。よ〜く見ていてくださいね」
「いま、ピュッっていったよ」
「え、どれどれ」
「おお、すごい」
「てっぽううおですよ」
おじさんが魚の皮を棒に貼り付けると魚がやってきて水鉄砲の様に水を飛ばしている。
「これは、鉄砲撃ちが必ずしも賢いとは言えないんですよ」
「鉄砲撃ちが餌を食べられる事はまれですからね。
大抵は落ちてきたところにいた魚が食べてしまいます」
魚の世界にも世渡りのうまいやつがいるんだな。
これはやっぱりチームを組んでやらないとだめだな。
さて、お次はちょっと大きな『すずき』です。
このおじさん、お魚に日本人の名前をつけているのですが、
この鱸の名前は鈴木です。
おじさんが餌を水に近づけると、ものすごい勢いで食いついてきます。
本当に指を噛み切られるんじゃないかっていう程の勢い。
おじさんもちょっとへっぴり腰で餌をやってます。
「おじさん、こないだ噛み付かれて痛かったそうです」
やっぱりそうか。
次はとっても大きなエイ。
ちっちゃなところに押し込められてかわいそうな程です。
「この子の名前ヤマダです」
おじさんがしきりに「ヤマダ」「ヤマダ」って呼んでいます。
「ちょっと触ってみてください」
「チャア、触ってみる?」
「うん」
「押さえているから触ってご覧」
「どお?」
「すごくざらざらしてるよ。たわしみたい」
「裏も触ってみてください」
「うわっ、ぬるぬる」
「パパも触ってみようかな?
ほんとだ、ざらざら、ぬるぬるだね」
エイに触ったのは始めて。不思議な感触でした。
「じゃ、さっきの所に戻ってください。見せ忘れたものがあります」
「なんだろう?」
みんなでぞろぞろさっきのところに戻ってきました。
「カブトガニです」
「手にのせてみてください」
「う〜〜〜、ちくちくする。チャアものせてみる?」
「ほんとだ、ちくちくするね」
おじさんは頭にのせている。チャアはすかさずシャッターを切った。
ちなみにこのカブトガニの名前はえみちゃんだそうです。
やっぱり自分で触れるのは楽しいね。チャアもこういうのは大好きみたい。